電力・ガス取引監視等委員会
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よくあるご質問(随時更新中)

長期脱炭素電源オークションに関するよくある質問と回答です。
※Q&Aは随時追加していきます。


目次

(1)全般
(2)応札価格について
(3)他市場収益について
(4)その他

(1)全般

問1-1.ガイドラインに列挙されていない費用も建設費や運転維持費に算入可能という理解でよいでしょうか。

答.
資本費、運転維持費は、例示項目に関わらず、発電量に応じて発生するコストである可変費ではなく、発電所の建設又は維持管理に必要な固定費として合理的に説明することが可能なものであれば、応札価格に算入可能です。


問1-2.上限価格の諸元について、最新の参照先がわかりません。(令和6年12月19日:最新の情報へ修正を行いました。)

答.
第94回制度検討作業部会 資料4-1のP12にある上限価格諸元が最新です。
   


問1-3.入札価格の監視における2倍の水準の具体的な計算方法を教えてください。(令和6年12月19日:最新の情報へ修正を行いました。)

答.入札価格の監視における2倍の水準の計算方法については、直近の発電コスト検証の諸元等の上限価格の算定にあたって用いた諸元(※1)、応札案件の発電端設備容量又は制度適用年数を元に計算することとされており、また、監視においては、応札価格に算入する固定費総額(項目毎)と2倍の水準の計算結果の金額を確認します。(※2)
   

   
   具体的な計算例は以下のとおりです。
   <2倍水準の計算例>
   事例1)LNG火力
    (応札電源情報 発電端設備容量:60万kW、制度適用期間:20年)
   ・建設費の2倍の水準:17.2万円/kW×60万kW×2倍=2,064億円
   ・人件費の2倍の水準:6.6億円/年×20年×2倍=264億円
   ・修繕費の2倍の水準:17.2万円/kW×60万kW×2.4%×20年×2倍=990.7億円
   ・その他コストの2倍の水準:諸費×2倍+業務分担費×2倍
       =17.2万円/kW×60万kW×1.1%/年×20年×2倍
        +{人件費(6.6億円/年×20年)
        +修繕費(17.2万円/kW×60万kW×2.4%/年×20年)
        +諸費(17.2万円/kW×60万kW×1.1%/年×20年)}×12%×2倍
       =659.1億円
  
   事例2)蓄電池
     (応札電源情報 発電端設備容量:1万kW、制度適用期間:20年)
    ・建設費の2倍の水準:25.0万円/kW×1万kW×2倍=50億円
    ・人件費・修繕費・その他のコストの2倍の水準:
       0.5万円/kW/年×1万kW×20年×2倍=20億円
  

問1-4.応札時点で、各費用の見積書の提示が必要になる場合があるかと思いますが、見積書の形式に指定はありますか。

答.
電力・ガス取引監視等委員会による監視の過程で、見積書などの証憑の提出や、その内容に関する説明を求める場合があります。
そのため、証憑については、事前にご準備いただき、当委員会からの求めがありましたら、速やかなご提出をお願いします。
その上で、見積書の形式は基本的に自由ですが、その見積書が真実のものであることが確認できるようにする必要があることから、応札事業者の代表印を押印した頭紙をつけていただきますようお願い致します。
そのうえで、見積書の発行者を明確に記載することなどの対応をお願いします。
また、見積書などの証憑については、原則日本語に限ります(証憑の一部が他言語である場合、和訳の添付をお願いします。)。

<応札時の頭紙(ひな形)>(Word形式:17KB)


(2)応札価格について

①資本費について

問2-1-1.「建設費」は、実際に建設に要したコストに沿って事後的に調整されることになりますか。

答.
本制度は価格競争入札であることから、基本的に応札価格の事後的な調整は行われません。
ただし、「系統接続費」及び「サプライチェーン支援制度・拠点整備支援制度からの支援金額」については、応札後に他律的に金額の変更が生じ得ることから、事後的に約定価格を修正することとし、毎年度物価変動も反映することとされています。

問2-1-2.「系統接続費」は、最新の工事費負担金の見積額を参考に、事業者が算出した任意の金額を応札価格に織り込むことになりますが、最終的な精算額との差分は支払額(約定価格)に反映されるのでしょうか。(令和6年12月19日:最新の情報へ修正を行いました。)

答.
応札価格に織り込んだ系統接続費よりも精算額が低くなった場合は、その差分だけ本制度からの支払額を修正することとされております。
一方で、精算額が高くなった場合には、本制度からの支払額は調整されません。
なお、応札時点における接続検討回答書の工事費負担金の最新の見積額(実際に応札価格に織り込んだ系統接続費の方が高い場合は、実際に織り込んだ系統接続費)よりも実際の工事費負担金が高くなったことに伴い経済性が悪化したとの理由により、供給力提供開始前に市場退出する場合には、不可抗力事由として市場退出ペナルティは課されません。


②運転維持費について

問2-2-1.「運転維持費」に、土地賃料、設備リース料、設備保険料及びファイナンスの費用を算入することはできますか。

答.
土地賃料、設備リース料及び設備保険料については、固定的に支払う費用かつ特段の事由がなければ、合理的な説明が可能な費用と考えられるため入札価格に反映可能です。
リース代や利用料をそのまま運転維持費に算入する方法と、費用の内訳を入手して建設費や運転維持費の適切な費用項目に振り分けて算入する方法が考えられますが、いずれでも構いません。
ただし、後者の場合は、例えば、燃料タンクを自社のみが利用するのではなく、他社と共用で使用する場合には、建設費や運転維持費の全額を応札価格に含めるのではなく、自社利用割合のみ応札価格に含めることとしてください。
ファイナンス費用(金利負担)についても、入札年度以前分は合理的な範囲で建設費への参入が認められますが、入札年度の翌年度以降分は事業報酬の算定ルールの中で包含されているため、事業報酬に加えて応札価格に織り込むことはできません。


問2-2-2.法人税や事業税は応札価格に織り込めますか。(令和7年1月8日:明確化のための修正を行いました。)

答.
事業税のうち収入割・資本割・付加価値割は応札価格に含めることができます。こちらについては、制度適用期間において生じる見込みの費用を計上してください。
一方で、事業税の所得割や法人税については、応札価格に含めることは認められません。
ガイドラインの運転維持費の項目をご参照ください。
なお、制度適用期間において生じる見込みの費用を計上する必要があることから、特別目的会社の場合のように、事業税のうち課税されない項目がある場合、該当部分については、応札価格に織り込むことはできません。
   


問2-2-3.事業税(資本割)の算定に用いる自己資本比率は何になりますか。

答.
事業税(資本割)の計算に用いる自己資本比率は一律に「43%」となります。


問2-2-4.経年改修費と修繕費の分類方法がわかりません。(令和6年12月19日:明確化のための修正を行いました。)

答.
資本的支出であれば経年改修費として建設費含めて応札価格に算入してください。収益的支出であれば修繕費として応札価格に算入してください。
   


問2-2-5.発電側課金のkW課金部分の金額はいくらになりますか(エリアごとに異なりますか。)。(令和6年12月19日:最新の情報へ修正を行いました。)

答.
ガイドラインにおいては、目安単価は一律900円/kW/年とされています。
第2回オークションの応札価格に含める発電側課金については、900円/kW×送電端設備容量(kW)×制度適用期間(年)を上限としてください。
なお、差分を還付金計算の際の原価に織り込むことは認められておりません。
   


問2-2-6.制度適用期間開始前の運転維持費の応札価格への織り込み方法を教えてください。

答.
制度適用期間開始前の運転維持費(当該投資によって追加的に発生する運転維持費に限る)については、基本的には、資本費に含めて応札価格に織り込むことができます。
ただし、試運転開始日~制度適用期間開始日前日は、メインオークション・追加オークションに参加可能であり、その期間に発生する運転維持費は、メインオークション・追加オークションで回収しうることから、その期間に発生する運転維持費は応札価格に含めることはできません。
なお、入札以前に支出した運転維持費は1年目の支出に含めてください。
以下の資料の1ページ目右下をご覧ください。
   <事業報酬算定イメージ図>(PDF形式:644KB)PDFファイル

   ※明確化のため回答に軽微な修正を加えております。(2023年12月27日)。

③事業報酬について

問2-3-1.事業報酬の算定に使われる均等化コストと単純平均コストの計算式を教えて下さい。

答.
単純平均コストは「資本費と運転維持費の総コスト」÷「制度適用期間」によって算定します。
均等化コスト(A)は「Σ(A/1.05^n)=Σ(各年度のキャッシュアウト額/1.05^n)」によって算出します。
   <事業報酬算定イメージ図>(PDF形式:644KB)PDFファイル

   ※明確化のため図に軽微な修正を加えております。(2023年11月10日)。

問2-3-2.応札価格の監視の結果、個別の費用項目について応札価格に含めることが認められない金額が生じた場合には、これを反映した応札価格を再度算定することになり、事業税や事業報酬も再度計算を行うことになりますが、その結果、当初の応札価格よりも大きい金額に変更することも可能でしょうか。

答.
資源エネルギー庁の解釈として、応札価格の再計算(応札価格に含めることが認められない金額が生じた場合の当該項目に関する修正及びそれに伴う事業税・事業報酬の再計算)を行った結果、当初の応札価格より大きい金額に修正することは認められておりませんので、当初の応札価格以下となるように修正してください。
なお、事業税や事業報酬は、当初の応札価格の算定の際に、応札価格に織り込むことができる金額より低い金額を織り込んでいた場合には、応札価格の再計算の結果、当初の金額よりも大きい金額に変更することは可能です。


④応札価格に関するその他ご質問について

問2-4-1.調達予定の設備が特定のメーカー等であることを理由として、応札価格の修正が必要となる可能性はありますか。

答.
特定のメーカー等の設備であることを理由として、応札価格の修正を求めることはありません。
なお、経済安全保障推進法では、発電事業者が出力50万kW以上の発電等用電気工作物に出力制御システム等を導入するなどの際には、事前に国に届出を行い、事前審査を行うこととしておりますので、ご留意ください。

経済安全保障推進法における発電事業に対する規制等に関しては、以下の窓口にお問い合わせください。
 経安法相談窓口(発電・特定卸供給) bzl-es-gen-agg★meti.go.jp  ※★部分を@に変更ください。

電源登録応札手続きに関するお問い合わせ窓口である以下の広域機関にも合わせて御確認ください。
 脱炭素電源オークション問合せ窓口 youryou_inquiry_long★occto.or.jp  ※★部分を@に変更ください。


問2-4-2.応札価格に含める金額は、電源等情報登録時に提出した見積金額から変更してもよいですか。

答.
電源等情報登録時の期間に提出いただく見積書の金額と、応札価格に含める金額は、異なっても問題ございません。
電源等情報登録時に御提出いただいた見積書の金額から、応札価格に含める金額を変更した場合には、当該内容・根拠について、弊会に御説明をお願い致します。


(3)他市場収益について

①還付金額の計算について

問3-1-1.相対契約の電源に、本オークション落札電源と非落札電源が含まれる場合の還付金額の計算方法について教えてください。

答.
第十一次中間とりまとめの参考図44 のように、相対契約の電源に、本オークション落札電源と非落札電源を含むことも可能です。
この場合、還付金額は、(落札電源が得た他市場収益の総額―落札電源が費やした可変費の総額)×還付割合として、計算してください。
例えば、相対契約の価格がP円/kWhであり、落札電源の販売電力量がQkWhの場合は、落札電源が得た他市場収入はP×Qとなります。
なお、本制度で落札した電源の発電端設備容量Aに、本制度に応札していない容量B(自家消費・自己託送電源、FIT・FIP電源等)が混在する場合であって、落札電源の小売事業者に対する相対契約の価格がR円/kWhで、落札電源の小売事業者に対する販売電力量がSkWhの場合は、落札電源が得た他市場収入はR×Sとなります。
   


問3-1-2.相対契約の電源に、本オークション落札電源と非落札電源が含まれる場合で、それぞれの電源の価格明細が契約書で規定されており、落札電源の相対価格が明確である場合は、他市場収益の還付対象は落札電源の相対価格とすることで問題ないでしょうか。

答.
本制度で落札した電源と他の電源をセットで相対契約を締結する場合の他市場収益の計算方法は、第十一次中間とりまとめ(参考図44)のケース2のように、相対価格P円について、販売kWhで按分する方法で他市場収益の還付金額を計算する方法が考えられます。
他方で、ケース2の計算方法によると、発電事業者がセット販売する他の電源の固定費の一部回収漏れが生じる等、妥当でない結果が生じる場合が考えられます。その場合は、それぞれの電源の価格明細が契約書で規定されており、落札電源の相対価格を明確にすることで、他市場収益による還付金額は落札電源の相対価格を基に算出することで問題ないものと考えます。
ただし、本来、落札電源の単独販売であれば約9割が還付される利益分について、仮に、セット販売において他の電源に落札電源の利益分を付け替えるということが行われると適切ではないと考えます。したがって、セット販売において落札電源の相対価格を還付金額の計算に用いる場合は、落札電源及び他の電源のそれぞれの相対価格の設定方法について、可変費・固定費等の証憑を基にご説明いただき、不当な利益の付け替え等が行われていないかを確認させていただきます。
詳しくは、以下の資料をご確認ください。
   <落札電源と他の電源のセット販売の監視の方法およびイメージ図>(PDF形式:239KB)PDFファイル
   ※明確化のため一部文言を削除しております。(2024年11月25日)。


問3-1-3.電源の所有者と維持・運用者が異なる場合等、他市場収益の還付の計算に使用する他市場収入の対象はどの収入になるでしょうか。また、相対契約の規律はどの卸取引に適用されるのでしょうか。

答.
他市場収益の還付の計算における他市場収入は、「応札事業者」が得る他市場収入(kWh収入※・非化石収入)を使用します。(※需給調整市場からの⊿kW収入を含む。)
電源を維持・運用する者が電源保有会社以外の場合は、維持運用者の内の代表者が応札事業者となりますが、電源保有会社から応札事業者を含む維持運用者に対して電気・非化石価値を卸す場合は、「維持運用者」が得る他市場収入を使用します。
また、電源保有会社が、維持運用者以外の第三者に電気・非化石価値を卸す場合は、その収入を使用します。詳しくは、以下の資料をご確認ください。
   <他市場収入の整理>(PDF形式:199KB)PDFファイル
相対契約の規律は、上記の他市場収益の還付の計算に使用する他市場収入を受ける者が、相対契約によって電気を卸売りする際の価格に対して適用されることとなります。
したがって、上記資料(他市場収入の整理)の赤枠の収入の価格に対して、相対契約の規律が適用されることとなります。
   ※明確化のため一部文言を追加しております。(2023年11月28日)。


問3-1-4.落札電源を第三者に賃貸することは認められますか。その場合、他市場収益はどのように計算すればよいでしょうか。

答.
長期脱炭素電源オークションに参加登録が可能な事業者は、電源を自ら維持・運用しようとする者である必要があります。
落札者である容量提供事業者が落札電源を第三者に賃貸する場合、容量提供事業者が引き続き「電源を自ら維持・運用しようとする者」に該当するか、御確認ください。
 ※該当しない場合は、賃貸は認められません。
賃貸者が「電源を自ら維持・運用しようとする者」に該当する場合、他市場収益の計算は以下のとおり行ってください。
 ・他市場収入:賃借者が落札電源によって得るkWh収入、ΔkW収入、非化石収入
 ・可変費:賃借者・賃貸者に発生する可変費
※容量提供事業者には、募集要綱や約款等にもとづく義務が生じています。
※広域機関に還付を行うのは、容量提供事業者である賃貸者ですので、賃貸契約によって、賃借者から上記の情報を取得できるようにしておく必要があります。
※賃借者と賃貸者の間の賃貸料等の金銭のやりとりは、可変費に計上することは認められません。
詳しくは、以下の資料をご確認ください。
   <落札電源を賃貸する場合の扱い>(PDF形式:220KB)PDFファイル


問3-1-5.損害保険における利益保険によって得られる補償も還付の対象になりますか。

答.
利益補填型の保険金収入は、実質的なkWh収入に当たると考えられることから、保険金を応札価格に算入しているかどうかにかかわらず他市場収入に含まれ、還付の対象となります。
なお、保険金収入の扱いについては、以下の資料をご確認ください。
   <保険金収入の整理>(PDF形式:199KB)PDFファイル


問3-1-6.他市場収益が赤字になった場合、還付は不要になりますか。

答.
他市場収入を可変費が上回り、他市場収益が赤字になる場合には還付は発生しません。
また、長期脱炭素電源オークション容量確保契約約款第28条第4項のとおり、対象実需給年度における他市場収益が負値となる場合、当該金額は翌年度の他市場収益の算出において当該金額を更に減じた後の他市場収益を当該翌年度の他市場収益とするため、翌年度の他市場収益については、「他市場収入―可変費―前年度の他市場収益の赤字」 と計算することになります。
さらに当該翌年度の他市場収益が赤字となった場合には、その翌年度の他市場収益の計算においても上記と同様の計算を行います(制度適用期間の最終年度において赤字が発生した場合には、当該赤字はそのままとなります)。
なお、可変費を不当に高くすることで他市場収益を0とすることが考えられるため、可変費が不当な金額となっていないかについて、電力・ガス取引監視等委員会において監視を行うこととしております。

問3-1-7.電力卸価格や燃料費のヘッジのための取引については、他市場収益に影響することはないでしょうか。

答.
「電力卸価格」や「燃料費」をヘッジするために先物取引等を行った場合、ある年度の落札電源の「卸収入」や「燃料費」の一部として会計処理上損益処理される部分については、当該年度の他市場収益の還付の計算における「他市場収入」や「可変費」に計上してください。
  ※投機目的で行う取引については、落札電源の燃料調達・発電、電力卸取引とは別個に行われるものと考えられるため、その損益を「他市場収入」や「可変費」に計上することは認められません。

②他市場収益の還付時期について

問3-2-1.他市場収益の還付を行う時期はいつ頃でしょうか。

答.
事業年度毎に還付額を算定し、翌年度に還付を行います。
したがって、例えば、2028年度の他市場収益分については、2029年度に還付額が確定した段階で速やかに還付を行うこととなります。
詳しくは、「電力・ガス基本政策小委員会 制度検討作業部会 第十一次中間とりまとめ 参考図49」を参照してください。
   


③他市場収益に関するその他ご質問について

問3-3-1.長期脱炭素電源オークションでは運転開始の翌年度からが制度適用期間となっています。運転開始年度において他市場から得た収益は還元する必要がなく、全て落札事業者の収益になるという認識でよろしいでしょうか。

答.
運転開始年度は制度適用期間外ですので、他市場収益を還元していただく必要はございません。

問3-3-2.他市場収益を算定する際の、他市場収入と可変費の対象範囲はどのように考えれば良いですか。

答.
他市場収入と可変費は、基本的には、電源全体(既設火力の改修案件の場合は、新たに生じる脱炭素kW)から生じる他市場収入・可変費が対象となります。
ただし、「自家消費等」が存在する場合は、その分を控除した範囲となります。詳しくは、以下の資料をご確認ください。
<他市場収入・可変費の適用範囲>(PDF形式:237KB)PDFファイル


(4)その他

問4-1-1.蓄電池の可変費として含められるものは何ですか。

答.
蓄電池の充放電のために消費した電力の調達費用など、発電量に応じて可変的に発生する費用は可変費に含まれると考えられます。
なお、可変費については、不当に高い可変費を計上することにより、他市場収益を0にすることが考えられるため、電力・ガス取引監視等委員会において、他の案件の同じ可変費に比して明らかに高額となっているかなど、特異な金額となっていないかどうかを確認することとしております。
また、可変費が特異な金額となっている場合には、合理的な理由があると認められる場合を除き、特異な金額を控除した額を、他市場収益の計算に用いることとしております。
具体的な可変費の例については、詳しくは、「電力・ガス基本政策小委員会 制度検討作業部会 第十一次中間とりまとめ 参考図50」を参照してください。
   


問4-1-2.インバランスは、他市場収入・可変費に含まれるのでしょうか。

答.
長期脱炭素電源オークションの落札電源が含まれる発電BGにおいて発生するインバランス(不足・余剰)については、BG単位で1年間に発生する不足インバランス・余剰インバランスの総額(ネットした金額)を、BGに含まれる電源毎の年間kWh比で按分して、プラスであった場合は他市場収入に、マイナスであった場合は可変費に必ず計上してください。なお、揚水・蓄電池では、ポンプアップ・充電が必要となりますが、他の小売電気事業者から電気を調達する場合には、需要インバランスは当該他の小売電気事業者の費用・収入であることから、他市場収益の計算における可変費・他市場収入に計上することは認められません。一方で、自ら小売BGとして電気を調達する場合には、BG単位で1年間に発生する不足インバランス・余剰インバランスの総額(ネットした金額)を、BGに含まれる需要毎の年間kWh比で按分して、プラスであった場合は他市場収入に、マイナスであった場合は可変費に必ず計上してください。
<揚水・蓄電池のポンプアップ・充電費用の扱い>(PDF形式:272KB)PDFファイル


問4-1-3.揚水・蓄電池のポンプアップ・充電をする際の電気料金は、固定費(基本料金)と可変費(従量料金)で構成されています。将来的に基本料金が変動するリスクに備えて、基本料金分を応札価格における固定費に含めず、基本料金と従量料金の全てを可変費として扱うことは可能でしょうか。(令和6年12月19日:最新の情報へ修正を行いました。)

答.
電気料金は、基本料金のように固定的にかかる費用と、従量料金のように可変的にかかる費用の片方又は両方が含まれることが想定されます。
そのため、電気料金については、応札時に、合理的な考え方に基づき、「総額」と「固定費と可変費の割合」を決めていただき、その割合にしたがって、応札価格に含める固定費を算出してください。
詳しくは、「長期脱炭素電源オークション(応札年度:2024年度)制度詳細説明会 電力・ガス取引監視等委員会資料P4事例2」を参照してください。
なお、具体例 として、完全従量料金制の電気料金を採用する可能性があることから、応札時に全額可変費として整理する(固定費:可変費=0:10)場合には、応札価格に含める電気料金を0として、他市場収益の還付の計算における可変費に、実際の電気料金の金額を計上してください。
また、応札価格に含める電気料金を0より大きい金額とする場合であって、「可変費」の金額を見積もることが困難であり、「固定費と可変費の割合」を決めることが困難な場合は、他市場収益の還付計算は、電気料金の実績額から、応札価格に含めた固定費を控除した金額を可変費として計上してください。
   ※明確化のため一部文言を追加しております。(2023年11月28日)。
   



問4-1-4.揚水・充電池の事業者が、自ら小売BGとして、JEPX等から電気を調達してポンプアップ・充電する場合、事業者は卸料金に加え、託送料金や、需要インバランスなどを負担しています。当該費用は、可変費として認められますか。

答.
揚水・充電池の事業者が自ら小売BGとして、JEPX等から電気を調達してポンプアップ・充電する場合、事業者が負担する卸料金や託送料金、需要インバランスなどが可変費であることを合理的に説明できる場合には、可変費として認められます。
なお、揚水・蓄電池のポンプアップ・充電費用の扱いについては、以下の資料をご確認ください。
<揚水・蓄電池のポンプアップ・充電費用の扱い>(PDF形式:272KB)PDFファイル


問4-1-5.他市場収入の還付の計算において「可変費」として計上できる事業税(kWh収入・非化石価値収入に係る収入割)は、どのように算出すればよいでしょうか。

答.
長期脱炭素電源オークションにおける会計処理は、容量確保契約金額(各年)を売上として計上し、他市場収益の還付額は、容量確保契約金額を限度として、売上から控除することが考えられます(※1)。
そのため、落札電源に係る事業税(収入割)を算定する際の「収入すべき金額 」は、「容量確保契約金額による収入+他市場収入-他市場収益の還付額(※2)」となります。
その上で、 落札電源に係る事業税(収入割)のうち、容量確保契約金額による収入に対する事業税(収入割)分は、応札価格に算入可能です。これを踏まえ、他市場収入の還付の計算における「可変費」に計上できる事業税(収入割)は、「収入すべき金額」を「他市場収入-他市場収益の還付額)として、当該金額に「事業税(収入割)税率」を乗ずることで、算定してください。

※1 本事例で示した会計処理・税務処理は、あくまで一例を示したものですので、詳細は、ご担当の公認会計士や税理士にお問い合わせください。
※2 上記整理の場合、算定上、控除する他市場収益の還付額は、容量確保契約金額が上限となります。
<事業税(収入割)について>(PDF形式:254KB)PDFファイル


※1 本事例で示した会計処理・税務処理は、あくまで一例を示したものですので、詳細は、ご担当の公認会計士や税理士にお問い合わせください。
※2 上記整理の場合、算定上、控除する他市場収益の還付額は、容量確保契約金額が上限となります。

問4-1-6.蓄電池の運用形態として、蓄電池の充放電(各種市場での取引)をアグリゲーターへ委託することを検討しています。アグリゲーターへ支払う委託報酬(アグリゲーションフィー)を、市場での取引成果に応じた成功報酬(例:他市場収益の○%)とした場合、このアグリゲーションフィーは、他市場収益の還付の計算における「可変費」に計上することは可能でしょうか。

答.
アグリゲーターに支払う委託報酬は、通常は「固定費」として設定されることが想定されますが、他市場収益の○%のように「発電量に応じて可変的に発生する費用」であれば、他市場収益の還付の計算における「可変費」に計上することは認められます。
ただし、委託報酬を他市場収益の100%と設定するなど、意図的に他市場収益の還付を回避していると認められる場合は、委託報酬の全額を「可変費」に計上することは認められません(他の案件の委託報酬に比べて、特異な金額部分を控除した額を、他市場収益の計算に用いる委託報酬とします。)。
監視においては、アグリゲーションフィーの割合(他市場収益の○%)のみならず、金額の絶対水準(円)も含めて、合理的な金額となっているか(過去の当該案件、他の案件に比して、明らかに高額となっていないか)を確認します。
そのため、特異な金額となっている可変費については、監視において、アグリゲーター選定時に競争入札や相見積りを実施していたかなど、委託報酬の率・金額の合理的な説明を求めることとなりますので、合理的な説明ができるよう準備をお願いいたします。


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