電気の小売供給契約における燃料費調整条項について
本件の概要
最近、一部の需要家(法人、個人)において、自由化分野に属する電気の小売供給契約 に含まれていた燃料費調整条項によって、電気料金(燃料費調整額)が「予期せず」増加したことを巡り、当該小売電気事業者とのトラブルになった事例 が報告されています。 本来、自由化分野においては、契約当事者間の合意により自由に料金設定がされるものであり、燃料費調整の適用が必ずしもその前提になるものではありません。 したがって、小売電気事業者が小売電気供給契約に燃料費調整に関する条項を盛り込むかどうか、また、その場合の算定方法については、あくまで、契約当事者間の合意に基づくものです。 しかし、今後、同様のトラブルが発生することを避けるため、小売電気事業者においては、電気の小売供給契約において燃料費調整に関する条項を設ける場合は、具体的な計算方法、そうした計算方法をとる必要性、みなし小売電気事業者による料金改訂の状況次第で相当額の値上げがある場合にはその旨を、需要家に誤解が生じないよう丁寧に説明することが必要です。(また、需要家の皆様におかれましても、契約内容に誤解の無いよう、十分に御確認いただくようお願いいたします。)
1.燃料費調整を巡るトラブル事例
(1)背景 燃料費調整は、事業者の効率化努力の及ばない燃料価格や為替レートの影響を外部化することにより、事業者の経営環境の安定を図ること、為替変動による差益を消費者に還元すること等を目的として、平成8年に導入されました。 燃料費調整は、平成28年4月の小売全面自由化以降も、規制料金であるみなし小売電気事業者(旧一般電気事業者の小売部門)の特定小売供給約款における契約種別毎の料金に適用されている他、みなし小売電気事業者が締結するその他の電気の小売供給契約においても広く適用されています。また、本来、自由化分野においては、契約当事者間の合意により自由に料金設定がされるものであり、みなし小売電気事業者の特定小売供給約款以外で燃料費調整の適用が必ずしもその前提になるものではありませんが、電気の需要家にとって料金比較の基準とするみなし小売電気事業者の小売供給契約に燃料費調整が適用されているため、実態として、新電力各社が提示する料金メニューや需要家が提示する契約書においても、燃料費調整の算定についてみなし小売電気事業者が定める供給条件によることとする例が多く見られます。
(2)内容 先般、みなし小売電気事業者が料金改定を行い、基準燃料価格を変更したことにより、それまでマイナス基調だった燃料費調整単価が一度ゼロになり、その後、燃料価格が上昇したことにより、燃料費調整単価がプラスとなりました。その際、他の一部の小売電気事業者が需要家との間で締結している電気の小売供給契約において、燃料費調整の算定について同地域のみなし小売電気事業者の燃料費調整の算定によることとされていたことから、当該小売電気事業者が需要家に適用する料金の水準が実際の燃料費の変動以上に上昇した事例が報告されました。
(参考)総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会(第5回)「資料5:電気料金の経過措置の撤廃を想定した検討課題について」
2.契約に当たっての留意点
今後、みなし小売電気事業者の料金改定により同様のトラブルが発生することを避けるため、小売電気事業者においては、電気の小売供給契約において燃料費調整に関する条項を設ける場合は、具体的な計算方法、そうした計算方法をとる必要性、みなし小売電気事業者による料金改訂の状況次第で相当額の値上げがある場合にはその旨を、需要家に誤解が生じないよう丁寧に説明することが必要です。(また、需要家の皆様におかれましても、契約内容に誤解の無いよう、十分に御確認いただくようお願いいたします。) 委員会としては、今後も、電力・ガス市場における適正取引の確保及び需要家保護の実現に向けて取り組んでまいります。 (参考:トラブル防止のための契約書における燃料費調整の算定方法例) ・基準燃料価格の契約締結時点での固定化 ・燃料費調整の影響を受けない固定料金契約 等
3.添付資料
担当
経済産業省 電力・ガス取引監視等委員会事務局
取引監視課長 鎌田
担当者:曽根、正木、間瀬
電話:03-3501-1511(内線4381~4)
03-3501-1552(直通)
公表日
平成30年2月7日