制度設計専門会合(第8回)‐議事要旨
日時
平成28年6月17日(金曜日)17時00分~20時00分
出席者
稲垣座長、圓尾委員、林委員、安藤委員、岩船委員、大橋委員、辰巳委員、松村委員
- オブザーバー等
- 児玉SBパワー株式会社取締役COO、秋山株式会社エネット経営企画部長、瀧本中国電力株式会社執行役員、野田関西電力株式会社執行役員、小山中部電力株式会社執行役員、遠藤電力広域的運営推進機関理事、澤井消費者庁消費者調査課長、井堀公正取引委員会調整課課長補佐、小川資源エネルギー庁電力市場整備室長、安永資源エネルギー庁電力基盤整備課長
主な意見
①一般送配電事業者に必要となる調整力の公募による確保の在り方について
- 電力量(kWh)価格について、週ごとの最高価格、平均価格を公表するとあるが、当面は調整力の供給者は旧一般電気事業者の発電部門が結果的に主となることが想定され、その発電費用は重要な経営情報となる。これが公表により限界費用として類推されることは競争上影響がある。例示で最高価格と記載しているが、多面的な影響を検討し、平均価格についても競争上の不利益として問題がないかをご検討頂きたい。
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電源Ⅰの落札がkW価格の低い順番で決まるというのは合理的だが、これは稼働率がゼロという前提。通常の電源入札であれば、価格は稼働率も考慮して一番低いもので決まる。確かに電源Ⅰなので、稼働率は低いと想定され、かつ、現時点では全く稼働率がわからないというのも理解するが、ゼロというのも適切なのかとも思う。可変費が正しいかを評価しなくてよいという意味でも、今回の提案は優れていると思うが、次回の公募以降では、稼働率の実績を踏まえた再検討も有り得ると思う。
ペナルティについて、意図的・非意図的の違いの判定方法と判定する主体を決めておく必要がある。
(価格の公表について)瀧本オブザーバーが仰っていることは理解するし、事務局案も合理的。一方、この主張は、調整力の市場はしばらく競争メカニズムが働かないことを旧一般電気事業者が認めたと言うこと。つまり、支配的な事業者の応札が実際のコストと著しく乖離していないことの監視、チェックは重要だと改めて認識して頂きたい。
瞬時調整契約については、系統の安定性のための契約とも言えるが、事実上の割引料金としても機能しており、実質的に小売契約の側面も相当あると思っている。他方で、契約を重視する事業者の立場では、私契約を簡単に解除はできないと思う。その結果、かなりの契約が残るのはある程度仕方がない。他方で、それをすべて託送料金で回収されるのは認められない。公募で調達しないとしても、託送料金の査定においては、公募を行ったとした場合の価格までしか認めないということならやむを得ない。但し、契約をどうするかは私契約の話で、経産省や委員会が解約を進めるものではなく、事業者に責任を持って判断すること。 -
公募要領の内容について、応答時間に厳しい条件は付くと思うが、段階を設けるなど、排他的ではなく新規参入者の入りやすさという部分も考慮して欲しい。
相対契約での調達については、最小限にしていただいて、参入障壁にならないようにして頂きたい。
公募調達が、将来的にリアルタイム市場に繋がるようなステップにして頂きたい。 -
この公募では、一般送配電事業者が広域機関に対して説明をして、その内容を広域機関がどう評価し、判断するかというところをしっかり決めて欲しい。
ペナルティについて、一般送配電事業者からの指令に対して不足したケースが書かれているが、超過したケースにもペナルティを課して頂きたい。
価格情報の公表については、調整力の市場に向けての取組と理解しており、一定程度市場の状況について公開することが重要。リアルタイム市場を見据えて進めて頂きたい。
入札の評価について、kW以外の基準で評価することを認めるのは理にかなっている。電源等のパフォーマンスを評価しつつ、価格との組み合わせ調達することを許すということは合理的。他方で、パフォーマンスについて、どのような評価基準とするかが重要。広域機関で調整力の機能をしっかりと議論し、進めて頂きたい。
域外からの調整力の調達は重要な論点で、まだ制度的に検討していく事項がある。連系線の利用ルール等、これらを議論して頂きたい。
需給調整契約について、制度設計ワーキンググループでは瞬時調整は送配電、契約調整は小売が引き継ぐことが適切とした。この論点はDRの話であり、DRに置き換えて進めていくと考えれば成長の余地とも考えられる。DRとの関係を考えて検討を進めて頂きたい。 -
情報公開については、個社の電源が特定され、その単価が見えてしまうということは問題だと考えている。特に競争部門も用いる電源が重要。こうした点からは、平均価格は一定の抽象度があり、電源の特定とはならないのではと考えている。また、大橋委員から御指摘のとおり、これは将来の市場を見据えたものであり、この価格がインバランス精算価格になっていくものだと考えると、初期の段階は別として、例えば、2020年で市場が開始するのであれば、その時の情報公開と透明性の確保、それと参入との関係を議論していくことが必要。今回はそのファーストステップとして入札を始めるに当たってこうした提案をさせて頂いた。
稼働率の評価については、非常に難しい。例えば、電源Ⅰの中のガバナ・フリーは、容量として契約するが、kWhはゼロになる。こういう稼働率の考えとkWhと整合しなくなる。また、稀頻度リスクに対応する電源のように、稼働率が非常に低い電源もある。こうした部分も含めて考えていく必要もある。将来的には、出力の変化スピード等の分類に応じて、例えば、稼働率を設定して調達するようなチューニングも有り得る。
指令に応じない場合に意図的か否かについては、一義的には契約の中で一般送配電事業者としてその判断をしていただく部分はあるが、委員会としてもどのようなものが調達され、どのような運用状況かは監視対象。そのなかで事後的に対応していく。
需給調整契約について、電気料金の割引的な要素として機能してきたということは否定できない。割引的な要素があるとすれば、それは小売の世界であり、調整力の機能とは別に整理する必要がある。他方で、契約の問題とともに、政府として関与した側面もあり、慎重に考えていきたい。
募集にあたり、応答時間が厳しいものが設定されることもあるが、緩いものも入れて頂きたいということではあるが、ただ緩いものをいれるということには合理性がなく、どのような機能のものが必要かという技術的な検討の結果であり、広域機関において議論されていると承知している。
一般送配電事業者と広域機関の結果の報告の仕方について、参入する事業者からの意見募集の結果、要件を揃える、改善していくといったことがあった場合、広域機関で検討を進めて、一般送配電事業者が共通対応を進められるような準備をしていく。他方で、調整力については、国としても監視をしていく。
指令に対して、過剰に反応した場合は、過剰部分は精算しないということ。
価格以外の評価基準についての考えだが、電源Ⅰにも様々な区分をつくることができ、これらを峻別していくなかで、パフォーマンスが自然と区分され募集されていくことがある。加えて、緊急的な要請で極めて瞬動性の高い電源が必要といった場合や、特定地域の電源が必要である場合等は、それらの条件を設定して調達するということだと思う。
DRと需給調整契約との関係について、既存の需給調整契約というものが唯一の調整力のネガワット市場ではないと考えている。我々としては、こういう部分についても市場化が重要と考えているが、過去からの経緯も踏まえて考えていきたい。(都築課長)
②ネガワット取引について
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第三者仲介スキームについては、小売事業者から見れば、与信や支払い能力を備えているかどうかを確認できないネガワット事業者と取引をすることになるため、慎重に検討を進めるべき。ネガワット取引自体に疑義が生じた場合は、取引を取り消すなどの措置が必要ではないか。
消費者から見ればネガワット事業者は電気を供給する者であると誤認しやすいことから、例えば、事務局提案の4つの要件を備えるべき者であることなどを小売営業ガイドラインで言及することも必要ではないか。
今後ネガワット取引の状況を見つつ、ネガワットガイドラインについては適時適切なアップデートが必要。 -
第三者仲介スキームについては、利用者のニーズに合致しているか不明。仲介業務の具体的内容やフローの詳細が利用者にとって不明確であることから、この場で一般送配電事業者が仲介者の任を担えるのかを判断することは難しい。
需要抑制計画の書き換えについては、系統利用者が自らの系統利用に係る計画を作成するという計画値同時同量制度の趣旨に鑑みれば、小売事業者が担うことが適当。仮に一般送配電事業者や広域機関が行う場合、追加のシステム改修が必要となり、P29のスケジュールに間に合わせることは困難。
関係事業者として、今回示されたスケジュールに沿って準備を進めたいが、特に第三者仲介スキームについては制約も多いことから、引き続き関係者と相談しつつ準備を進めてまいりたい。 -
長期的にDRを推進するという観点から、拙速に実施に移してトラブルが頻発するという事態は好ましくない。直接協議スキームについて来年4月の実施に向けて準備を進める一方で、第三者仲介スキームについては多少スケジュールを後ろ倒しすることも許容すべきではないか。
DRの普及という観点から、今回提案されたネガワット調整金の水準については少し高いという印象。
横切り型の部分供給についてシステム対応が複雑というのは理解できるが、対応困難なものとまでは言えないことから、例えば時期を遅らせてネガワット取引の対象とすることも考えるべきではないか。
需要地近接性評価割引の運用に伴う需要抑制計画の書き替え主体に係る議論は、そもそも日本の託送供給制度の複雑さに起因するもの。早急な託送供給制度の見直しが必要だという印象。 -
需要抑制計画の書き換えについては、小売事業の実務運用の観点から、一般送配電事業者が担う方が効率的と考える。
小売事業者の立場から、適切な需給管理の観点から需要家の需要抑制計画が共有されることから必要と考える。 - 情報の仲介主体や需要抑制計画の書き換え主体に係る議論については、そうした仲介や書き替えに係る対価についても合わせて議論をする必要があるのではないか。対価の水準が合理的なものであれば、そうした業務の担い手も容易に見つかるかもしれない。
- 需要抑制計画の書き替え主体が誰になるにせよ、小売事業者が需要抑制計画を受けることが必要と考える。
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今回提案のあったネガワット調整金の水準については高いという印象で、ネガワット取引が普及するのか不安を感じる。
第三者仲介スキームについて、情報仲介の主体に係る議論などを関係者で合意しない限り、ネガワット市場の普及・確立は困難であることから、時間をかけて議論すべき。一般送配電事業者に負担をかけるようなことになると推測されるが、それにより一般送配電事業者がネガワット取引に後ろ向きになり、結果として市場が活性化しないということでは本末転倒であることから引き続ききちんと議論すべき。 - 第三者仲介スキームについて、情報仲介の担い手は論理的に選ぶことは困難であるが、それに係る人繰りという観点から一般送配電事業者に担って頂くしかないと考える。議論を一歩前に進め、一般送配電事業者が担うことを前提に関係者で詳細な論点を洗い出していくというフェーズに移ってはどうか。
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需要抑制を供給力の一形態とみなすというのは電気事業制度における初の試みであることから、先送りせずに政府で示した目標期限を目指して、関係者が準備を進めることがネガワット市場の普及の観点からも良いのではないか。
第三者仲介スキームについて、情報仲介の担い手は、広域機関についてはトラブルもある一方、一般送配電事業者はエリア内の需給管理を行ってきた実績があるので、一般送配電事業者が担うことを前提に関係事業者で議論を進めるべき。
需要抑制計画の書き換え主体について、書き換えによって需要地近接性評価の割引対象を適正化できるのであれば、一般送配電事業者がメリットを享受できるので、一般送配電事業者が書き換え主体となるのが筋とは言える。 -
第三者仲介スキームについては複雑でコストもかかることから、ネガワットを専業とする事業者の声・ニーズを聞くのが重要ではないか。
第三者仲介スキームについて、情報の仲介主体を、広域機関においてシステムトラブルが現在起こっているという短期的な視点・理由だけで決めるべきではない。広域機関は系統利用に係る計画を一元的に引き受ける役回りを担っているため、広域機関が情報の仲介主体となれば効率的な運用ができると考えられないか。 -
第三者仲介スキームについては引き続き議論させていただきたい。
需要抑制計画と計画の書き替えの議論はセットであり、ゲートクローズ前に小売事業者が需要抑制計画を受け取るのであれば、計画の書き替え主体も小売事業者となる。
将来の需要想定は、計画値ではなく実績値に基づいて行われるべき。(都築課長) - 情報の仲介者については一般送配電事業者であるべきという意見もあったが、その点も踏まえて、引き続き議論を進めさせていただきたい。(稲垣座長)
③自主的取組・競争状態のモニタリング報告について / ④卸電力取引の活性化の進め方について
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前回の専門会合で、グロスビディングに反対する事業者はないだろうと申し上げたのは、英国型のグロスビディングを想定していたため。グロスビディングの導入には賛成するが、英国型を採用する場合、取引の透明性は高まるものの、直接的な効果は極めて限定的であることの認識が必要。
事務局資料で電発電源の切出しとタマ出しが混在して記載されているが、タマ出しは切出しに代替するものではない。事務局が電発電源のタマ出しを肯定的に評価しているのか確認したい。 - 資料では旧一般電気事業者が改善したいと表明した部分をまとめただけであり、その点を事務局が評価しているということではない。現在その状況を確認している自主的取組では、電発電源の切出しが表明されており、タマ出しではない。電発電源のタマ出しの議論により、電発電源の切出しを議論しないということではない。(田邊室長)
- 旧一般電気事業者の入札制約について内容を明らかにして欲しい。 自主的取組の改善策は、東西で市場分断が頻発していることを踏まえ、東西で別けて議論してはどうか。 電発電源の切出しについては、切出しを推進する方向で議論を行い、実効性のある対策を示して欲しい。 グロスビディング導入には賛成だが、卸電力市場の活性化に向けた施策はこれだけでは十分とは限らないので、その他の活性化策についても検討を進めて欲しい。 l 安藤委員 グロスビディングについて英国型を採用する場合、直接的な経済的メリットはなさそうにも思えるが、グロスビディングを採用した英国やNord Poolにおいて、これを導入した後に企業行動がどのように変化したのかといった点を中心に教えて欲しい。 l 林委員 グロスビディングについては、旧一般電気事業者の一部から前向きなコメントが出されており、JEPXも準備を進めているとのことであるため、まずはこれを導入してみることも重要ではないか 。
以上
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電力・ガス取引監視等委員会 事務局 総務課
最終更新日:2016年6月30日