制度設計専門会合(第7回)‐議事要旨
日時
平成28年5月25日(水曜日)09時00分~11時00分
出席者
稲垣座長、圓尾委員、安藤委員、岩船委員、大橋委員、新川委員、辰巳委員、松村委員
- オブザーバー等
- 児玉SBパワー株式会社取締役COO、秋山株式会社エネット経営企画部長、瀧本中国電力株式会社執行役員、野田関西電力株式会社執行役員、小山中部電力株式会社執行役員、佐藤電力広域的運営推進機関理事、井堀公正取引委員会調整課課長補佐、澤井消費者庁消費者調査課長、小川資源エネルギー庁電力市場整備室長、安永資源エネルギー庁電力基盤整備課長
主な意見
①託送制度に関するこれまでの御議論と論点の整理について
- (資料に基づき事務局から内容を報告)
②一般送配電事業者に必要となる調整力の公募による確保の在り方について
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広域メリットオーダーを追求することは非常に重要で、その観点からもネガワットを取り込むことは重要。
調整力の要件という論点も示して頂いているが、公募要領で設定するに当たり、きちっとDRが入れるような要件設定をして頂きたい。また、広域機関の役割は非常に大きく、要件の標準化を考える上では、広域機関が主導的な役割を果たすことが重要。
調整力の事後検証については、一般送配電事業者と、事後検証に当たっての視点や手続きについて共通認識を持った上でやっていただかないといけない。 -
過不足を検証するということが説明されているが、そもそも不足することは許されるのか。
- →例えば、長期と短期で区分して調達を行ったところ、年間で確保しておけばよかったものを短期でかき集めて調達して、結果的に対応したということもあり得る。(都築課長)
- 調整力が不足するということではなく、長期と短期の調達の組み合わせの適切性ということで理解。このような場合、一定の評価基準は必要。例えば、長期で確保した部分で不足があり短期で確保したから不適切というだけでは、長期でより多くを確保するという方向にしか動かない。いきなり正解はいかないかもしれないが、ある程度明確な基準があって、それを不断の見直しをしていく必要がある。
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広域メリットオーダーの観点からも、ネガワットを取り込むことが重要ということについて、要件については広域機関で御議論頂いていると認識しているが、配慮していきたい。また、御提案している意見募集のチャンネルについても活用をして、チューニングしていきたい。
評価基準を不断に見直すという点について、この仕組みはいままでの制度にはなかった話で、いきなり百点満点は難しいかもしれないが、やりながら改善していきたい。(都築課長) -
一般論として、調整力と予備力は正確に区分して考えて頂きたい。今回の資料では、調整力と予備力を正確に区分して記載しているが、両方を兼ねる調達ということはあると思うが、検討ではこの2つを区分して考えて頂きたい。
事後検証には二つの側面がある。広域機関で必要量等が定められた場合でも、系統の特性等や状況変化により送配電部門の判断で追加の調達をするといったことはあり得る。このような場合の、広域機関の検討結果では安定供給上不足があったかという観点からの検証。もう一つは、コストの点。託送料金に計上する時に、送配電部門の言い値をそのまま認めてしまって良いかという意味での検証。広域機関の検討結果に追加する場合、安定供給上必要であれば確保するのだけど、その部分を野放図に託送料金に計上を認める訳にはいかないから、そういう意味で検証というのも含まれている。これから、どういう形になるのかを追々議論していく必要がある。あまり厳しく査定しすぎて、本当に必要だったものまでコスト回収出来なかったということも当然問題であり、そういった部分も含めて考えていかなければならない。
意見募集については、適切に対応して頂いたと認識。定期的に続くものということで、合理的に時間がかかるなら対応に時間がかかることも仕方が無い。
期間について、長期を1年として頂いている。もっと長期の調達が必要というのは、将来的にはあり得るが、改善していく過程のなかで、あまりにも長期に囲い込まれてしまうと、その機会を失ってしまうので、良いと思う。
広域メリットオーダーに関しては、連系線を使うということは、相応のコストがかかるということも認識しなければならない。調整力として予め容量を確保する代わりに、別の用途での活用が減るというコストを含めて、それでも外から調達した方が安いという場合に活用する。連系線を利用することのコストは、これから利用ルールの改訂で金融的送電権の議論が行われるが、そういうものが導入され、入札が行われることで明確になる。結果、調整力についてもこのコストを反映しても安いかという入札ができるようになる。連系線ルールの見直しは、この観点からも非常に重要。 -
調整力の調達について、競争的になってくれば広域的な参入が重要で、連系線ルールの見直しは必須と認識。
契約の一般条項的な部分は標準化してほしい。例えば、損害賠償とかが毎回違うと、毎回評価が必要。初回が重要なので、しっかりスタンダードを考えて頂きたい。 -
コストの観点から事後検証について、まさにその視点が、監視委員会がこの議論をする本質の一つ。現在、一般電気事業者に対して調整力電源の稼働状況をモニターする仕組みを整えた。今後、公募調達実施後も継続していく。今後、公募調達の実態に整合した、運用実態把握の仕組みを考えたい。
余分な調達という観点では、確保しているけど、全く使われない電源があるような場合、やり方に改善余地があるかもしれないし、また、実際の指令がメリットオーダーなのかという点も託送料金の上昇要因に繋がりかねないため、よく見ていきたい。他方で、厳しすぎることで、安定供給に支障をきたすこともあってはならないと思っている。アンシラリーサービスとして、単に量があり、コストの安いものから動いていれば良いというだけではなく、系統の実態等から稼働させなければならない場合もありうるので、そういう部分も丁寧に見ていきたい。(都築課長) - 複数の一般送配電事業者が広域で調整力を調達する場合、長期や短期の調達をいつ実施するかコーディネーションが必要ではないか。発電事業者等が、どこに売るのが効率的かを考えた場合に、先にどこかで落札されたことで、他社の調達に参加できないような事がおこると思う。広域的な調達が可能となるなら、次は、タイミングの問題が課題になると思う。
③ネガワット取引について
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今回ネガワットの取引スキームについて3つ提示があったが、確定数量契約スキームや直接協議スキームのように民間事業者同士の協議を前提とするものだけである場合、取引が進まない可能性もあることから、第三者仲介スキームについても選択肢として用意しておくことが重要。
なお、第三者仲介スキームについては、情報やお金の適切な取扱いが重要になる。情報のやり取りについて、フランスでは送配電事業者(RTE)が担っているが、現状、我が国の一般送配電事業者が様々なシステムトラブルを抱える中、ネガワット取引に係るものを既存システムに上乗せすることが制度開始の遅延に繋がってしまわないかと懸念しており、広域機関を関与させることも一案と考える。お金の取扱いについては、現状実績のある者が担うしかないのではないか。 -
需要家が需要抑制した電力分も含んだ形で小売事業者が仕入れを行うことに対して、補塡をする必要性については理解するが、「補塡金」という性質よりは、ネガワット取引に係る「調整金」のようなものと位置付けるのが適切ではないか。
小売事業者が協議に応じないことへの備えとして第三者仲介スキームが提示されたが、まずは直接協議スキームのように当事者同士による建設的な協議を促すような仕組みづくりが必要。
今後BtoCのネガワット取引が普及してくると、事業者が家庭の中に入り込んでいくことになるので、適切な情報管理やプライバシーの保護、事業者の倫理性の確保が極めて重要になる。このような資質のあるネガワット事業者を選んでいく必要があるので、今後の制度づくりに当たっては慎重な議論が必要。 - 売上補塡金については需要抑制した電力分に相当する小売事業者の調達への対価として支払われるものと理解したが、名称については適切なものに見直すべき。個別のスキームの評価をするに当たっては、売上補塡金の必要性に関する過去の議論なども含めて丁寧な説明と議論が必要。
- ネガワット取引は小売事業者Aが確保している予備力を小売事業者Bに移転するもので、移転に伴い逸した分の小売事業者Aへの対価は必要。減った売上を補填するという趣旨ではないため、「売上補塡金」という名称のほか、その水準などについては議論が必要。
- 米国のPJMでは売上補塡金が存在しないと聞いているが、全く存在しないのか、それとも別の形で支払いが行われているのかなど、海外事例の分析も必要ではないか。
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ネガワット取引は、本来ネガワット事業者と小売事業者が適切に協議を行うことが前提であり、この協議が回避されることを前提として第三者仲介スキームを用意することが必要なのか、同スキームの導入に当たっては仲介のための費用が必要になることも含めて検討すべき。
仮に、第三者仲介スキームを導入する場合には、効率性を考える必要があり、仲介については資料にあるとおり一般送配電事業者が良いのか、スイッチングシステムの運用を行う広域機関が良いのか、それともJEPXが良いのか議論すべき。 - 現状の広域機関のシステム不具合の状況を考慮すると、ネガワット取引の実施に伴い大幅なシステム改修が必要な場合には、システム構築者との調整も含め、綿密な設計が必要なことからスケジュール感を含めよく議論させて頂きたい。また、この4月からの計画値同時同量制度の実施に当たっては、各事業者の計画提出において混乱が生じたことから、ネガワット事業者に対する計画提出に関する十分な講習時間の確保も必要と考える。
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第三者仲介スキームは、ネガワット取引を活性化させるために提案されたスキームと理解。情報伝達の仲介は、現状託送供給に係る情報などを取り扱う一般送配電事業者ないしは広域機関が担うのが適当。また、売上補塡の仲介についてはクリアリング機能を持つJEPXないしはTOCOMが担うのが適当ではないか。
売上補塡金の水準については、小売事業との整合性を図る観点から議論を進められるべき。 -
ネガワット事業者に求める要件を特定卸供給の定義に落とし込む形式を取ろうとしている一方、具体的な規制は託送契約でという建付になっているが、当該要件を備えていることを確認するスキームや備えていない場合のペナルティやエンフォースをきちんと用意しておくことが必要。
ネガワット事業者による個人情報の管理については、どのような個人情報があって、それをどのように取り扱うべきかという行為規範をガイドライン等で明確化すべき。 -
「売上補塡金」という名称は適切なものに見直すべき。
ネガワット取引は、本来需要抑制により生み出された付加価値を需要家やネガワット事業者でどう取引するかというもので、本来的には事業者間の協議・契約で整理すべきもの。フランスの事例の紹介があったが、議論を深めるためには、ネガワット取引においては、どこで付加価値が発生し、それをどのように共有すべきかという観点で整理が必要。 - 小売事業者として、IoTなどの新たな技術を活用できないかということを日々考えており、ネガワット取引についても同様の位置づけで考えていることから、ネガワット事業者から協議の申出があれば、誠意を持って応じたいと考えている。
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第三者仲介スキームにおける仲介に係る費用負担は誰が担うことを想定しているのか。
- →取引当事者が負担することを想定している。(都築課長)
- ネガワット取引の推進は省エネの推進に資するものであることから、是非とも検討を進めていただきたい。
④「電力の小売営業に関する指針」の取組状況調査結果及び改定案等について
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調査により状況がよく分かった。電源構成を多くの事業者が開示していることを確認した上で意見を申し上げる。「小売電気事業者において一定の取組が進んでいることが確認できた。」とあり、「望ましい」を、「しなければいけない」には変更しないという判断をされたようであるが、どのように判断したのか。自分としては、やはり不十分で、全社に開示してほしいと思う。
- →義務化を考えないのかというご質問と認識。(稲垣座長)
- →一定の事業者が開示をし、また、3月から5月にかけて開示している事業者が増加しており、開示予定としている事業者も多いという状況であるが、今で十分と考えているわけではなく、引き続き政策的に開示を促していき、開示をフォローしていくことが必要。(新川課長)
- 事務局は電力の小売営業に関する指針の改正案について、パブリックコメントにかける手続きを進めていただきたい。(稲垣座長)
以上
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電力・ガス取引監視等委員会 事務局 総務課
最終更新日:2016年6月7日