電力・ガス取引監視等委員会
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制度設計専門会合(第4回)‐議事要旨

日時

平成28年1月22日(金曜日)15時30分~17時20分

出席者

稲垣座長、林委員、圓尾委員、安藤委員、岩船委員、大橋委員、新川委員、辰巳委員、松村委員

オブザーバー等
柳生田昭和シェル石油電力事業部長、沖F-POWER株式会社副社長、児玉SBパワー株式会社取締役COO、谷口株式会社エネット取締役、野田関西電力株式会社執行役員、瀧本中国電力株式会社執行役員、前田中部電力株式会社執行役員、澤井消費者庁消費者調査課長、井堀公正取引委員会調整課課長補佐、小川資源エネルギー庁電力市場整備室長

主な意見

①電力の小売営業に関する指針及び適正な電力取引についての指針のパブリックコメント募集の結果等について

  • 資料3-1の4頁に関して、放射性廃棄物排出量については現段階で算定に関するルールが定まっていないことを理由に、開示することを「望ましい行為」として整理していないが、今後この点について早急に算定ルール等を整備して対応して欲しい。 
    • →放射性廃棄物排出量については、現状では様々な算定方法が散在しており、一定の算定方法が定まっていない。この点については、関係省庁も含めて、どういうことを今後できるのか検討したい。(新川課長)  
  • 資料3-1の10頁に関して、FIT電気の販売メニューを提供している事業者の中には、FIT電気が他の電源とは異なるとの記載のみを設けている事業者が存在する。現行のガイドラインではそのような記載についても禁止されてはいないが、曖昧な記載は避けるべきであり、「FIT電気はCO2フリーではない」旨を明示させるべきである。 
    • →FIT電気についてはその特性を踏まえ、「火力発電による電気なども含めた全国平均の電気のCO2排出量を持った電気として扱われることに関する適切な注釈を付す必要がある」旨をガイドラインに追加している。(新川課長)
  • ガイドラインの記載を修正しているが、今後もガイドラインに違反していないものの、読み方次第でどちらにでも読めるような記載を行う事業者が現れることが予想されるため、委員会でしっかりと確認していく必要がある。一般の方の目に付くのは、一行目の記載であるため、FIT電気については冒頭に「CO2フリーではない」旨の記載を求めるべきである。 
    • →FIT電気について、消費者の誤解を招かないように、既にガイドラインに記載済みである。また、今後も必要に応じてガイドラインの見直しを行いたい。(新川課長)  

②今後の託送料金制度の在り方について

  • 自由化が進み中立的なNWを小売と発電が使う中で、託送料金に乗ってくる送電ロスの問題は重要。系統を木に、電気の流れを水の流れに、例えて考えると分かりやすい。ロスを減らすには流量の多い上流の基幹ネットワークを管理することが一番効果的。ネットワーク管理者に対してはロスを減らせばインセンティブ、減らさなければディスインセンティブとなるようにし、使用者にとっては託送料金が下がるというメリットがあるような、双方がWIN-WINとなるメカニズムを作るべき。
  • まず、この制度設計専門会合は、需要地近接性評価割引といった小さな問題だけを議論する場でなく、託送料金制度を根本的に見直すための検討の場と認識している。
    需要地近接性評価割引でインセンティブを誰に還元させるかについては、昭和シェル石油、F-Powerの立場に立てばそれぞれが正しい。自然体の市場が形成されていれば、小売から発電に利益は還元されるはず。一方で、発電の側から見れば、買い手が独占的な状況で、その利益が一部しか還元されないということもないとは言えない。そのような懸念を一番簡単に解消するには、託送料金を小売・発電の双方が払うようにし、売り先や発電場所に託送料金が依存するような制度を作ればよい。良い場所に立地している発電事業者は、託送料金が直接減り、小売電気事業者にとっても託送料金が減ることとなる。いずれにせよ、今のような小売が払うのが当然という託送料金自体を疑って、こういった懸念が解消される制度を作っていくべき。
    送電ロスに関して、送電ロスを重視しているにも関わらず、長期の電源インセンティブが必要という意見があった。これは、長期では需要が移り変わることもあり、送電ロスを多く発生する上流となっている場所での発電にインセンティブを与えるということで、おかしい。事業者の立場から考えれば、長期のインセンティブが有難いということはわかるが、全体最適で合理的なのかどうか考える必要がある。設備形成に影響を与える観点などから、長期的な視野に立つことは否定しない。
    また、送電ロスについて上位系統の効果が大きいという説明があったが、これは、大規模な発電所から下流に流すという構造に偏った考え。電気であれば下流から流れることもある。その上で、現在の託送料金制度は、下位系統が上位系統の設備コストを100%負担する仕組みになっている。しかし、なぜ全部負担しないといけないのか。下位系統とは関係なく、上位系統の需要のために減らせない設備もあるはず。今ある料金体系から割引ということではなく、制度そのものを含めて望ましい料金体系について考えるべきではないか。送電ロスの低減には基幹系統が重要ということはわかるが、下位系統で潮流改善を行うこともとても重要だと考えている。木の例えは誤解の無いようにしたい。電気の場合は葉っぱから水(電気)を吸収することもある。
    最後に、基幹系のロスをきちんと考えるべきだという御意見は全くその通りだと思うが、今現在でも、制度改革の前からでもそのようなことは考えられてきた。ただ、これでは不十分なので、これから抜本的な制度改革を考える上で、建設費の問題も送電ロスの問題もきちんと考えながら、もっとも合理的な託送料金を考えなければならない。
    • →よりよい託送制度を作るための共通認識をしっかり持つこと、事実に基づいて議論すること等のご意見をいただいた。望ましい形のコンセンサスをはかりながら、議論を進めていきたい。(稲垣座長)
  • 託送料金制度については、全体を俯瞰して検討いただきたい。いかに効率的にするか、料金制度の工夫ができるか、考えを深めていく必要がある。具体的な制度設計の際には、系統を利用する皆様、あるいは最終的に電気を利用する皆様の納得感という視点も必要だと考えており、一般送配電事業者として、検討に積極的に協力していきたい。

③卸電力市場の活性化について

  • 卸活性化策については、短期的課題と中長期的課題とに分けて議論していく必要があるのではないか。資料8に公営電源や電発電源の切出しが挙げられているが、これらはあまり進捗していないので、短期的課題として、この点について踏み込んだヒアリングを実施する必要があるのではないか。
    また、公営電源については、違約金が生ずるため、契約の解消が進んでいないと考えられるが、例えば、一般電気事業者が代替電源を確保するための一定期間を経過した場合には、その期間以上の違約金請求を行わないことを明記することが考えられる。
    さらに、資料8では、新規参入者のシェアが8%とあるが、これに加え、セグメント別の新規参入者のシェアもモニタリングすると、新規参入が進んでいる分野とそれ以外の分野が分かり、その原因と課題が検討できるのではないか。
  • 電力取引監視等委員会の役割としては、公平かつ公正な競争環境の整備と、それを乱す相場操縦のような行為の取締りにあると考えている。相場操縦に関するデータの分析手法については、海外を中心に知見の蓄積があるので、電力取引監視等委員会において相場操縦に係る分析手法を検討する際には、それらを是非活用してほしい。
    また、どの事業者がどのくらい入札したのかといった取引所の入札データについては、学術的ニーズが高く、研究者がどのような形で用いることができるのかという課題があると考えている。このようなデータは、守秘義務等の問題があり、これまで公開されていないが、経済センサスの基礎データなどは学術目的で利用できる場合もあり、学術的な議論を行うために、そのようなデータ利用に関するルールの整備をしてもらいたい。
  • 常時バックアップについては、現在の競争状況では廃止できる環境には無く、すぐに議論を始める必要は無いと考える。仮に、全国一斉に常時バックアップを廃止することにする場合、全ての地域で適正な競争環境が整備されている必要があるので、簡単には廃止できないこととなるが、今後、その廃止を検討する際には、全国一斉に廃止するのか、経過措置的に地域ごとに廃止するのかといった悩ましい論点もあると考える。
    常時バックアップについては、プライススクイーズがおきていないことが確認された段階で、その廃止の必要条件が満たされると考える。また、例えば、オール電化料金の深夜料金から託送料金と営業費用を引いた価格が、事業者の利益を含んだ燃料費用となるはずであるが、平均的に見てそのような価格で市場へ入札が行われているのかどうか、プライススクイーズがおきていないのかについても調べてほしい。
    相場操縦の監視は、電力取引監視等委員会の重要なミッションであるが、これまではそもそも取引所での取引量が非常に少なかったため、そのようなことを行えばすぐに発覚するので、相場操縦の有無を確認する必要性が低かった。他方、今後、取引所での取引量の厚みが増していくと、相場操縦についてはしっかりと監視していく必要がでてくる。
  • 委員からは取引所での取引量が少なく非常に薄い市場との指摘があったが、今は大半の原子力発電所が停止している特殊な状況にある点で一定の配慮をしていただきたい。本年4月からの小売全面自由化に伴い、卸電力市場にも多くのプレーヤーが参加することが予想されるため、卸電力市場の活性化に向けてしっかりと取り組んでいきたい。 また、今後は容量メカニズムについても安定供給に資する制度として議論していただきたい。
    • →ご指摘のとおり、卸活性化策としては、短期的に検討すべきもの、中長期的に考えるものがあると考えている。また、容量メカニズムについては、この場で議論すべきか分からないが、今後検討の必要性がある論点の一つと認識している。(田邊室長)
    • →卸電力市場の評価については、我々も勉強中であり、今後どこかのタイミングで議論したい。卸電力市場の活性化については、総合的に議論していきたい。(新川課長)

以上

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最終更新日:2016年4月1日
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