電力・ガス取引監視等委員会
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電気料金審査専門会合(第12回)‐議事要旨

日時

平成28年3月22日(火)9時30分~11時30分

出席者

安念座長、梶川委員、辰巳委員、松村委員、圓尾委員

オブザーバー
全国消費者団体連絡会 河野事務局長
前東京消費者団体連絡センター 矢野事務局長
日本商工会議所産業政策第二部 市川副部長
消費者庁消費者調査課 澤井課長
資源エネルギー庁電力・ガス事業部政策課電力市場整備室 小川室長
説明者
東京電力株式会社 大亀執行役員
東京電力株式会社 河野グループマネージャー
東京電力株式会社 劉グループマネージャー

主な意見

  • 震災後の総括原価方式による値上げ審査で消費者が料金制度を学んだ。今回の事後評価の機会があったことは、評価したい。
  • 規制部門、自由化部門の利益率の乖離のところの評価については、専門家の方によく見てほしい。規制部門で値上げを抑制し、自由化部門で値上げを抑制しなかった場合ついては、事後の利益はどうだったのか、というところを知りたい。
  • 人件費が増加している。福島の事故で対応があったということは理解。その上で、この人件費の増加が必要だったのかを証明してほしい。
  • 経営効率化を計画より大幅に実施。やればできるというのが素直な感想。今後も引き続きがんばってほしい。自由化が始まるが、しばらくの間、規制料金のもとで、生活をしていくものと思われるので、適正な料金での提供をお願いしたい。
    • →燃料費の増加や、コストダウンについては、利益率に影響を与える大きな要因であるため、仮に、値上げ率を見直していたとしても、結果として両部門に乖離が生じることは変わりがないと考えている。経営効率化については、これで終わりではなく、今後も引き続き取り組んでいく。(東京電力)
  • 東京電力は、経営効率化の中で修繕費の削減、投資の緊急避難的な削減を実施しているが、安定供給の観点からどのように考えているか。
    • →安定供給は一番重要な点だと考えている。安定供給を前提としたリスク評価を行い、これに伴うコスト削減を行っている。(東京電力)
    • →鉄塔の取替、電線の張替などの修繕あるいはリプレースを先に延ばすなどを行われているということか。これまでもリスク評価をされていたと思うが、これまでは修繕をしていたようなもののうち、一部については先延ばしできるとの判断と捉えて良いか。(安念座長)
    • →従来鉄塔の塗装を20年、30年といった一律の基準で塗り替えていたところ、超音波での診断などの新しい診断技術を用いて、より精緻にリスク評価を行い、安全性に支障が無いものについては、先延ばしできるものとしてコストを削減している。(東京電力)
  • リスク再評価による緊急避難的な繰り延べとあるが、今後恒常的な効率化としてコスト削減を行うことができる部分と考えて良いのか。
    • →恒常的な経営効率化部分と臨時的な経営効率化部分の2つがある。(東京電力)
    • →緊急避難的な費用の繰り延べについては、その分将来に費用が増えてきて、財務を大きく圧迫するということがあるのではないか。(安念座長)
    • →緊急避難的なものについて、将来的に費用がでてくるとは認識している。ただし、様々な経営効率化を実施しているので、なるべくこの部分が大きな負担とならないよう吸収できるように努力していく。(東京電力)
  • メリットオーダーの表に関して、石炭の場合CO2の排出量が多い。料金の話ではないが、CO2を多く排出する石炭を多く使用することについては、どのように利用者に説明しているのか。
    • →メリットオーダーだと燃料の使用実態としてはこのようになる。パリ協定を受け、当社のほうでも自主的な努力しているところ。そうした中、石炭火力のウエイトを今後どうしていくか。一つの燃料だけに依存すると色々なリスクがあるので、全体的なベストミックスを考えている。再生エネルギーを含め、全体としてCO2原単位を下げていきたい。(東京電力)
  • 東京電力の電気料金値上げから3年たった。今回、有識者会議や消費者庁からの意見に基づき事後評価の基準がつくられ、検証の機会が設けられたことは大変重要と捉えている。原価算定期間終了後の事業者による評価、行政による評価は非常に重要。今後も事業者からは、原価と実績との比較、利益の使途等についての評価が行われ公表されるが、需要家にとってわかりやすい情報開示がされる必要がある。今回のような専門会合での説明があれば、重要な情報がピックアップされて情報提供がなされるが、来年以降では値上げなどがなければ専門会合での説明の機会はないと考えられ、ホームページ上での公表が重要性を増す。現状、ホームページでの公表箇所が非常にわかりづらいので、わかりやすい情報開示を心がけてほしい。
    • →内容が決算関係に近いということで、IRのところに近いところに公表している。確かに辿り着くまでに何階層かあるので、情報開示に関して少し工夫していきたい。(東京電力)
  • 前回の値上げの際に人件費に注目が集まった。今回コスト削減の深掘りによって一部人件費を戻すという施策が行われた。人件費については、厳しい目がある一方で人材流出などによる事業運営への影響も有り、悩ましい課題であると認識している。今回は、緊急避難的な大幅なコスト削減も実施されたが、今後もこの仕組みで対応していくのか。春闘で東京電力の社員の給与水準が事故前水準の5%水準マイナスまで戻っていると聞いている。
    • →ご指摘についてはその通り。計画上のコスト削減が目標を超過達成できた場合には、コスト削減の超過達成分の一部を使って人件費を一部復元している。緊急避難的なコスト削減はずっとは続かないため、恒常的なコスト削減に置き換えていかないといけないと考えている。(東京電力)
  • 今回は事後評価。想定したよりも原子力の稼働率は低かった。これに伴って値上げ申請をしていないという前提。原子力再稼働がなされないことで、値上げ申請がでてきている時とは全く異なる状況と理解。あるいは原価算定期間に原子力の稼働をあまり見込めなかったため値上げがなされたが、実際にはそれ以上の稼働があるにも関わらず値下げ申請が出されていないという状況でもない。そのベースで議論を行う必要がある。
  • 人件費で一般職と管理職▲14%の基準値となる数値はどのタイミングの数値か確認したい。中越沖地震の際に、もともと10%の給与減を行っていたが、そのときの水準をベースとしているのか。
    • →震災の直前の段階(中越沖地震以後)の給与水準を基準としている。(東京電力)
  • 燃料費に関連して、原油価格の変動について記載があるが、石炭・LNG価格の記載はされていない。これらは大きな変動がなかったので記載がされなかったのか、あるいは原油価格にほぼ連動しているということで記載がされなかったのか。
  • →資料での影響額の算定においては、記載上は捨象しているが、石炭の使用量の実績数量に石炭価格の変動・LNGの使用量にはLNG価格の変動をかけて算定している。(東京電力)
  • 原油安や円安など燃料費調整制度に基づく好影響は、外的要因による一時的なものと考えるべきで、いつマイナスに転落するか、電力会社の自助努力だけではどうにかなるものではない。
  • 原子力発電の稼働停止や自然条件に左右される事業用太陽光発電の導入拡大に伴う火力発電の焚き増しによる燃料費の増加も同様である。
  • 加えて、今回のように雑巾を振り絞って、最大限努力して捻出したコスト削減効果が、今後も「同じ規模」で永続するとは考えにくく、すべての社員がコスト削減努力のモチベーションを維持しつつ、電力会社が構造的に適正な範囲で利益を確保できる体質に転換していくことが必要である。
  • そのためにも安価で安定的なベースロード電源としての「原子力発電」や「水力、地熱発電」を、全体最適の観点から、エネルギーミックスの「S+3E」や、わが国の「約束草案」に基づいてバランスよく導入促進を図っていくべきと考える。
  • これは同時に、福島において商工会議所の会員企業の多くが元通りの事業継続や再開を強く希望しているにもかかわらず、未だに風評被害や商圏喪失による逸失利益に苦しんでいる状態で、こうした被災企業に対する営業損害賠償に充てる「特別負担金」の納付額を最大限確保することにも繋がるからである。
  • 検討にあたっては、福島再生に繋がる原資の確保という観点も忘れずにお願いしたい。
    • →福島復興は、会社存続の大きな目的の一つ。その責任を果たしていくためにも、コスト削減の努力を継続していかなければならない。(東京電力)
    • →われわれが、平成24年に査定方針をまとめた際には、柏崎刈羽の6号・7号はすぐ再稼働するという前提であった。今から見るとかなり楽観的な見通し。実際には、原子力発電所はまったく稼働していなかった。(安念座長)
    • →原子力発電所の設備も長年使っていないと、自動車などと同じように、いざ実際に動かす段階になってから、ちゃんと動かないといったことにならないように、工事や設備点検の中止、実施時期の見直しなどは適正にお願いしたい。
  • 原価算定期間終了後の事業者による評価の中で、利益の使途という表現がある。これについて教えてほしい。
    • →年度決算の公表において、当期純利益については、安定供給のために必要な設備投資、財務的な改善のための内部留保のために使っていく旨をご説明させていただいている。(東京電力)
  • 4月からの自由化に向けて、東京電力も自由料金を設定している。地域によっては、安い料金も話題になっている。そういったところに規制料金で稼いだお金が回っているのではないか。
    • →4月からは、プレミアムプランを出している。これは、全てのお客さまに当てはまるプランではないが、多使用量のお客さまについては安く電気をお届けすべく新しいメニューを提案させていただいた。前回の値上げ時の時も使用量が高いお客さまについては、そうでないお客さまよりも値上げ率が高くなっている。広い意味ではお金を使っているということになるかもしれない。なお、当該項目は、部門別収支の中では自由化部門に含まれ収支を計算することになる。(東京電力)
  • 基本的には東京電力の説明に納得。
  • ただ、説明責任をもう少し意識してほしい。当年度は、当年度をいれた3年間では利益基準で引っかかる可能性が高い。結果として、引っかからなかったとしても説明が必要。値上げによって消費者に迷惑をかけていると認識しているのであれば、わかりやすく説明するのは当然。IRは株主等投資家向けなので、一般の消費者向けに、わかりやすい開示が必要。そういった発想がないのは、いかがなものか。
  • 緊急避難的なコスト削減の後に、すぐにその反動が出てくることは、過去の電力会社の業績の分析を行っていた自分の経験からすると少ないように思う。削減の反動分は、他の経営効率化で吸収できるというケースが多い。これくらいのレベルであれば、今後の経営効率化で吸収できるのではないか。その観点において、修繕費の削減は、今後より細かく分析して説明して欲しい。
  • 諸経費のなかで諸費が大きく増えている。その中で団体費は、HPでは開示しているとのことだが、影響が大きなものがあれば教えてほしい。
  • 業務に関わる費用は、団体費ではないのか。
    • →原価に算入している団体の中で、日本原子力技術協会(現・原子力安全推進協会)への支出が6億円増えている。原子力発電所の安全に関わる業務・レビューを行っている団体。福島原子力発電所の事故の後、料金改定時の想定にも増して業務量が多くなっており、会費も増加している。
    • →支出しているのは問題ないが、団体費として整理するのは、どうなのか。
    • →我々としては、必要な支出と考えている。会計整理上、団体費の整理についてはいただいたご指摘を踏まえ、検討したい。(東京電力)
  • 寄付について、大企業でも税務上、損金参入が認められるのか。(安念委員)
    • →枠がある。
  • 平成25年度も平成26年度も経常利益よりも最終利益が多くなっている。これは、一般的にはどういった状況なのか。(安念座長)
    • →特別損益がある。
    • →特別損益として、賠償関係の原賠・廃炉等支援機構からの交付金(特別利益)、実際にお支払いする賠償金(特別損失)がある。長い目で見ると±0となるが、短期では期ずれが生じている。また、資産の売却を進めており、資産の売却益が生じており、これも特別損益として計上されている。(東京電力)
  • 除却費が削減されているという記載がある。除却の簿価からスクラップバリューを控除した金額が除却費という理解で良いか。(安念座長)
    • →基本的にはその通り。なお、除却に際して追加で生じる除却費用もここに含まれる。
    • →そのような理解にたって、なぜこんなに固定資産除却費が減少するのか。(安念座長)
    • →投資の抑制に伴う部分が大宗。除却工事費自体も工事の効率化を行う過程で減少している。(東京電力)

以上

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最終更新日:2016年4月8日
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