電気料金審査専門会合(第6回)‐議事要旨
日時
平成27年10月22日(木)14時00分~16時40分
出席者
安念座長、圓尾委員、箕輪委員、梶川委員、辰巳委員、松村委員、南委員、山内委員
- オブザーバー
- 日本商工会議所 産業政策第2部 市川副部長
- 株式会社F-Power 沖取締役
- 消費者庁消費者調査課 金子課長
- 資源エネルギー庁電力市場整備室 小川室長
- 説明者
- 北海道電力株式会社 藤井取締役 常務執行役員
- 東北電力株式会社 田苗常務取締役
- 東京電力株式会社 武部常務執行役 パワーグリッドカンパニー・プレジデント
- 中部電力株式会社 松浦取締役 専務執行役員
- 北陸電力株式会社 高林取締役 常務執行役員
- 関西電力株式会社 土井取締役 常務執行役員
- 中国電力株式会社 松岡常務取締役 流通事業本部長
- 四国電力株式会社 長井常務取締役(総合企画室長)
- 九州電力株式会社 山崎上席執行役員 電力輸送本部長
- 沖縄電力株式会社 仲里常務取締役
主な意見
- 関係会社取引の効率化について、関係会社の経営効率化と配当の関係が見えない。
- →出資が100%の子会社については、前年度の純利益の50%相当を配当してもらい、会社の決算では経常利益に計上。一方で、関係会社との取引については、当社向けと当社以外の取引があるが、当社との取引は、取引単価を下げるので利益を生まないよう厳しく臨んでいる。そのなか、関係会社は効率化を行って、徐々に利益を上げている。(北陸電力)
- →配当原資が出るような経営を指導しているのか。
- →効率化しなければ配当が出ないので、そうしている。(北陸電力)
- →子会社である以上、経常利益を求めることと、純利益をどれだけ親会社への配当に回すかということは、別の問題ではないか。(安念座長)
- →子会社との取引に対し配当額は結果的に原価の低減にどのように働くかについて、説明を求めることではないか。
- →個別審査で整理することとする。(安念座長)
- 資料3-3スライド1について、鉄塔建替基数のうちH28~30年度の低地上高の数字を出していただいたが、この3年間で急激に増えているのか。
- →H24~26年度の実績は、年間40基程度。H27年度は推定実績で57基を建て替え予定。H24-26年度は主に秋に集中工事していたので、管内施工力の観点から40基が限度だった。26、27年度からは春にも工事をシフトして工事を平準化した結果、年間60基程度までできるようになった。事業者としては、計画的に早く建て替えて信頼度を上げていきたいので、今後も現在のペースで行っていきたい。(北陸電力)
- →低地上高の過去の実績はどうか。過去と比較して急増していないなら、過去のベースで査定してもよいのだろう。もっと前にやるべきだったことを原価算定期間に後ろ送りしていないかということは専門会合で確認すべきことなので、過去のデータを見て大きく増加していないなら認めてもよいのではないか。
- →低地上高の過去の実績は、後日回答する。(北陸電力)
- →建替対象の鉄塔については、関係委員と問題を整理したい。(安念座長)
<需要地近接性評価割引>
- 評価地域を約款から除いた理由として、関西電力の資料5-6スライド7には「今後の潮流状況の変化等に応じて評価地域の見直しを機動的に行えるよう」にとある一方、スライド9には、「潮流に大きな変化があった場合には見直す」「基本的には託送料金の改定と合わせて見直す」と書いてある。託送料金の改定を機動的に行うということなのか。若しくは矛盾していることを書いているのか。
- →潮流状況に大きな変化があった場合には評価地域を見直す必要があると認識している。評価の見直しの結果、託送料金に影響があると、改定とあわせて実施するということ。両面があるため資料上記載した。約款に評価地域を規定することになれば、手続をいかに機動的にやるか、事務局に検討いただきたい。(関西電力)
- →我々で議論しなければならない論点ではある。(安念座長)
- 東京電力の資料5-3スライド8について、以前と比べて区割りが適正だという説明の中で、中心方向に向かった基幹系の潮流の改善につながるからという理由だったが、川崎など中心方向のところが除かれていることとの関係で合理性がない。各社とも除く理由はあるが、追加する理由はない。東京電力の説明が本質であるならば、中心方向に向かう潮流の先にある川崎などは、対象地域に追加することになってもいいのではないか。
- →スライド8は算定ルールと別の観点でみた場合の説明。算定ルールでは、需要密度が平均より上回ってないか、発電量が需要を上回ってないか、という2つの基準で算定した結果。確かに基幹系からの推進力に対しては効力があるかもしれないが、川崎については系統増強に非常に制約があり、ちょっとした電源追加にも3桁の費用がかかる。今般の申請に当たってのルールとしては設けていないが、そうした観点からも除外という結果に合致しているという説明になると考える。(東京電力)
- →今のご説明は我々でも消化しなければならない。(安念座長)
- 事務局資料4-2スライド26にあるとおり、「当社が別途定める地域」について、基準が非常に明確で一義的で誰もが答えをだせるものならば良いという考え方もあろうが、今回の議論のように対象になるのかならないのかといった難しい問題であることから言えば、自由に委任するのは難しいだろうというのが皆様の感覚だろう。理由としている機動性はわかるが、他方で頻繁に見直すつもりはないということなので、原則、託送料金と一緒にやるということであれば、約款に書いて認可に係らしめても問題がないのではないか。割引単価については、別表になっており、別表は約款の一部であるので、割引単価を変える時は必ず認可が必要ということであれば、約款に委任条項を残さず地域を特定しても良いのではないかと考える。問題はそれを機動的に行えるかどうかという制度設計の話であるので、別途、考える必要があるのではないか。
- →地域指定を約款外(認可外)として申請された点については、柔軟性との関係で、もう少し議論しなければならない。(安念座長)
- 東京電力の場合、東京都の品川区、川崎市の川崎区、横浜市の鶴見区、中区、磯子区が対象地域から除かれているが、生活者からすれば川崎市という行政区単位の中で料金が違うのはどうなのかと思う。
- →我々はルールを適用する立場だが、問題はルールがあるのかということ。法令的にはこの点については、何もきまっていない。制度設計WGでの議論によれば、「例えば」市町村とされており、適用すべきルールが確定していないような気がする。自治体の中の行政区(川崎市や横浜市)から、さらに細分化するという考え方はもとからあったのか。(安念座長)
- →色々な物事を考える際に、行政区、特別制定区は市町村と同様の扱いで動いていることが多い。WG資料では市町村と書かれているが、どこがということではなく、感覚的には市区町村として最初から考えていた。(東京電力)
- →ルールがはっきりしていないので、適用がわからないという訳にはいかない。暫定的な考え方を打ち出さなければならないので委員に相談する。とりあえずは個別審査で結論を出す。(安念座長)
- →自然な感覚として市区町村といった場合、川崎区は違うのではないか。川崎市として一つの市区町村でやるのが公平ではないか。
- 制度の安定性、予見可能性と機動性の比較考慮もある。事業の性格を考えると、機動性よりも予見可能性が重要になるのではないか。そうすると、明示性が高いプロセスが重要ではないか。
- 関西電力の資料5-6スライド8について、1/2評価の説明がわからない。例えば東京電力の資料5-3スライド5では言いたかったことがおぼろげにわかる。基幹送電線は500kVと275kVがあるが、ロスを考える時により上位系統のロスの改善効果を見込んでいる。したがって高圧、低圧であれば特別高圧以上のところ、特別高圧であれば基幹送電線のところという類推からすると、500kVと275kVをわけて、275kVの上位は500kVなので、275kVを含めた全体ではなくて、500kVに対する削減効果とすればわかる気がする。ただし、今の理解が正しかったとしても、この説明では全くわからない。500kVと275kVでは、コストが半々であることと、ロスの割合が半々であることは全く関係が無い。ただし、ロスのことを考えたのならば、500kVのほうがロスは小さいので1/2よりは小さくなり、最大見積もったということかもしれない。一方で、コストでやっているならば、より上位のものの建設費の節約という格好になっていない。特別高圧も、高圧も同じ割引になっているはず。このような発想は根本的におかしいので、やはり1/2の説明はわからない。説明に合理性があるなら、もっとちゃんと説明してほしい。 しかし、どれだけが合理的かということは非常に難しい。むしろざっくり1/2としたことは高く評価すべきではないか。これぐらい柔軟性をもって他のこともやれるのではないか。
- 基幹送電線の潮流改善効果の説明は全く納得できない。需要単位でみると増設は必要であることはわかるが、長い基幹送電線の潮流を改善するだけでなく、投資を潜在的に削減できるという効果は依然としてあるが、この効果を無視することはやはりわからない。他のところでも、投資削減効果を考えているのに、なぜここだけ市町村単位での最後の流れだけ勘案して、大きな流れを勘案しないのかわからない。例えば、中部電力で、上越火力が出来たことにより電源のバランスが良くなり投資が正しかったと思うが、たとえばその近傍で中部電力の管内で需要がたくさん出ていて外に流れ出ないということはない。流れ出るが、これは重要な電源で、仮に新規参入者が代わりに建てるとすれば当然エンカレッジすべきもの。しかし、先程の説明では、つなぎ込みのところは追加投資が必要で、潮流改善効果はなく、投資を誘導するのはおかしいということになり、全く理解できない。よって、基幹送電線の割引のところは、全体の効率性という観点からも看過できないほど問題があるのではないか。ただし、今回、固定費をいれて、高圧と特別高圧を分ける英断については高く評価。
- そもそも需要地近接性割引の目的がはっきりしていない。割引の計算としてロスと建設費を入れてきたのは経済学では長期の概念であり、投資のインセンティブとして考えなければならない。そうすると、基幹送電線と低圧部分の話、地域のとらえ方がバラバラになっていて、計算式を考え直さなければならない。ただ、資本費用がどれだけ節約されたかを計算するのは難しいので、今回のやり方しかないのかもしれない。1/2問題については、基幹系と地域系のバランスをもう少しデータで検証しないといけない。
- →資本費用の節約だと考えるから、粗々で言えば、減価償却費に一定の係数を掛けて足したということになろうが、その根拠ははっきりしない。その理由は、目的をはっきり定義していないということだろう。しかしこれは我々の専門会合の問題ではないので、電力取引監視等委員会で議論をお願いしたい。(安念座長)
- →目的が投資インセンティブなら、比較的安定的に固定して投資判断することは必要なので、戦略的にすぐに変えるようなものではない。
- 四国電力の資料5-8スライド6について、「系統マッピングにおいて、「熱容量面から特別高圧系統の対策工事が必要となる地域」を含む市町村は除外している」とあるが、新電力が発電所を作るときにアクセスする送電線については工事費負担金を取られるが、制度改革によって上位系についても応分負担するルールが出来つつある。熱容量面から特別高圧系統の対策工事をした場合、これから新電力が費用を負担することになる。そうであれば、「熱容量面から特別高圧系統の対策工事が必要となる地域」への立地を除外する必要はないのではないか。
- →187kVの送電線が一杯であり、これ以上電源が増えると、送電線に大きな増強が必要になる。そういうところにインセンティブを与えてまで誘導するのかという意味で除外している。系統増強の費用を負担をしていただいているが、100%かどうかわからないので、インセンティブを与えるほどのものではないということ。(四国電力)
- →考え方は同じ。投資が必要だということでマッピングしているので、評価から除外している。(中国電力)
- 東京電力の資料5-3スライド6の下線部分「今後電源の連系により電源過多地域となる可能性がある地域として対象外」について、横浜の話だと思うが、ここに電源ができると上位系の調整が難しく増強が必要なので除外したいということか。
- →密度と電源需要だけで単純に仕分けした結果である。御指摘の下線は全体にかかっているので、横浜の話ではない。(東京電力)
- →横浜が除外された理由は何か。
- →横浜市鶴見区は二つの条件で外れたもの。電源が多いので外れてしまった。それとは別に内在的な課題として、基幹系全体としての流れの話と、レイヤーの話をどう調整していくかというところが、系統全体として難しいところ。(東京電力)
<系統連系技術要件>
- 系統連系技術要件について、調整力機能を具備する発電機を定格出力250MW以上としていて、その説明を合計発電機容量の90%強だからと受け取ったが、90%以上ということに合理性があるのか。また、東京電力自身も25MW以上の発電施設に調整力機能を持っているのか確認したい。
- →250MWは当社の基準。なるべく発電機には調整力機能を持っていただきたいが、基準を下げていくと手間と費用がかかるので、当社と同じ基準がそれなりに合理的と考えている。(東京電力)
- →250MWに意味があるのであって、9割には意味がないということか。
- →そのとおり。(東京電力)
- 東京電力の資料7スライド8に、発電設備本体に追加コストは原則かからない、DPC・AFC信号の受信応答機能に数百万程度かかるとあるが、そもそもこの機能に対するコストは数百万なのか。
- →ボイラや発電機本体など主要設備に影響を及ぼすような要件化はせず、制御信号を受信し応答させるための機能として数百万円程度のコストとなるようにしている。(東京電力)
- 調整力機能について、250MWの基準を今後変えるときは遡及せずに、変えるなら早いタイミングでお願いしたい。他の電力会社も同様。基準は系統規模によって変わってくると思われるが、早く基準等を示せれば、新規参入者も対応しやすい。
- 東京電力の示した仕様は説明を聞く限り合理的な気がするが、新規参入者からコストが高いといった意見があれば、監視委員会においてこれが適正であるか検証してほしい。
- 系統連系技術要件について、東京電力だけ何故必要としているのか。東京電力の50ヘルツ系統が荒れているとは聞いていない。他の電力会社と温度差がある。特に東北電力は同じ50ヘルツにも関わらず無いと言っており違和感がある。
- 周波数調整が不足している状況が資料ではわからないため、丁寧に状況と機能の必要性について定量的に説明してほしい。
- →技術的に荒れているといった系統の状況にあるのではなく、来年の4月に分社化をするので、発電会社は1発電事業者となり、我々は別の会社の送配電事業者となる。そうすると発電事業者は、東電グループといえども、いかにコストを抑えて合理的な仕様で発電所を作るかにフォーカスする。協議していても、余計な機能は排除してくれという話になり、社内といえども具備する連系要件を整備していかなければならないという状態に立ち至っている。技術的な問題というより、自由化を迎えて競争力を発電事業者としても持つ必要があるので、必要最低限は確保する。(東京電力)
- →託送料金を下げる方向で応分の発電事業者の負担をすべきという発想か。ならば他社も早くやればいいのではないか。
- →各社もそれなりの調整力を合理的にお持ちだが、社内取引のため、対外的な託送要件として仕立てる必要がまだない。費用については、業界に調査をした結果である。(東京電力)
- 調整機能具備の要件ついて、現状の大きな発電機についているのか。どのような割合でどのようについているのか。需要家からすると安定供給の観点からつけてほしいが、現状がよく分からない。どのような機能なのか。例えば小規模発電や原子力発電など、調整ができない発電所にはついていないのか。わからないから教えてほしい。
- →火力については、系統連系要件として具備されている。(中部電力)
- →焚き増し、焚き減らしというより、時々刻々の電気の変化にあわせて燃料調整するもの。(東京電力)
- 電源入札時もこの要件を求めており、この条件が厳しいという意見はなかったと認識しているが正しいか。
- →パブコメを経て、WGで示して確定した要件に基づいている。(東京電力)
- それならば、この要件について新規参入者から具体的に、提案・相談・要望するほうが建設的では無いか。
- →東京電力の場合、基準は250MWだが、北海道電力の場合は100MWでもこのスペックを求められるはず。託送料金は下がるが、新規参入者にとって発電所建設時に応分の負担があり、それが数百万なのかと思った。自分達で調べる。
- →結果を教えていただきたい。必要な機能であり、誰かが負担しなければいけないが、新規参入を抑制する効果があってはいけない。(安念座長)
- 事務局資料4スライド49に東京電力の火力入札の参考資料があり、「機能付加による過剰な設備となるおそれがある」というご意見をいただいている。これに対して東京電力は、「応札者に対しては金銭的な追加のご負担は発生しません。」と回答している。こういうやりとりを経て、入札時に要件を課すことはクリアになっている。(都築課長)
以上
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電力・ガス取引監視等委員会事務局 ネットワーク事業監視課
最終更新日:2016年4月1日