電気料金審査専門会合(第4回)‐議事要旨
日時
平成27年9月18日(木)17時00分~20時00分
出席者
安念座長、圓尾委員、箕輪委員、辰巳委員、松村委員、南委員、山内委員
- オブザーバー
- 全国消費者団体連絡会 河野事務局長
- 日本商工会議所 産業政策第2部 市川副部長
- 株式会社F-Power 沖取締役
- 消費者庁消費者調査課 金子課長
- 資源エネルギー庁電力市場整備室 小川室長
- 説明者
- 北陸電力株式会社 高林取締役・常務執行役員
- 中国電力株式会社 松岡常務取締役
- 沖縄電力株式会社 仲里常務取締役
主な意見
- 効率化計画について第三者評価を実施しているのか。
- →実施している。(中国電力)
- →実施していない。(沖縄電力)
- →実施していない。一方で、毎年度、IRや経営計画を発表する記者会見等で効率化について対外的な説明を行っている。(北陸電力)
- 中国電力の設備投資について、今回の申請内容は「長期投資計画および中期経営計画に基づき、最新情勢を織り込み算定しています」とのことだが、最新情勢を織り込んだ影響体的に何か。また、最新情勢を織り込んだ後の計画は社内オーソライズされているのか。
- →最新情勢の一例として、OFケーブルの中でもPD付のものを、不具合が多いために優先的に取り替えている。各部門の長が中期経営計画を毎年ローリングさせており、その直近のものと申請内容は同じ内容である。(中国電力)
- 沖縄電力の設備投資について、今回の申請内容の根拠となっている計画はいつか。そして、それは社内でいつオーソライズされたのか。
- →毎年度、取締役会議で今後10年間の設備投資計画をオーソライズしている。直近では今年の3月末に行い、それが申請に反映されている。(沖縄電力)
- 北陸電力の設備投資について、資料中で言及があるのは平成22年度と平成25年度の設備投資計画だけだが、それらが今回の申請内容の根拠なのか。
- →今回の申請内容は、平成27年度設備投資計画に最新情勢を織り込んだもの。(北陸電力)
- 最新情勢を織り込んだ後のものは社内でオーソライズされているのか。
- →平成27年度設備投資計画は今年春の取締役会議でオーソライズされている。その後で最新情勢を織り込んだ内容は各部門ではオーソライズされているが、全部門の数字をとりまとめたものはオーソライズされていない。ただし、最新情勢についても、金額の大きい案件については個別に取締役会議の議題になっているし、今回の約款申請の内容も取締役会議に当然かけられている。(北陸電力)
- 設備投資計画について、従前の小売料金審査では、原価算定期間に行われそうな投資についても極力繰り延べされていたと認識している。一方で、今回は、本来であれば原価算定期間後に行われる投資が平準化という名目で前倒しされている。今回は値上げ申請ではないという違いはあるにせよ、一方の原価は投資が繰り延べられており、もう一方の原価は投資が前倒しされている状況は、公平性の観点で理解が困難。説明を求めたい。
- →基本的に前倒しは行っておらず、劣化が激しい設備を順次取り替えている。(中国電力)
- そうであるならば、直近と比べて原価算定期間の設備投資額が著しく増えていることは納得できない。
- →原価算定期間に投資を寄せていないかという観点は重要。引き続き精査したい。(安念座長)
- 北陸電力について、鉄塔の建て替えが典型例だが、実績値が計画値を常に下回っている。例えば、平成22年度計画によると平成24年度に取替基数を大幅に増やす計画であったにもかかわらず、実績ではほとんど変化しなかった。以上を踏まえれば、原価算定期間中に設備投資額を大幅に増やすという計画は大幅な査定を行う必要があるのではないか。
- →従来も算定期間前と算定期間中のコストに著しい乖離がある場合、申請の数値をそのまま認めるわけにはいかないというのが基本的な態度。(安念座長)
- →平成22年度計画は設備の平均寿命を基に作ったが、平成25年度や平成27年度の計画は、各設備の個別事情を織り込んでより現実的な内容としたとご理解いただきたい。(北陸電力)
- 北陸電力の資料3-3のP2の下にある「計画と実績との主な差異」の3点目「需要・再エネ動向や設備劣化状態による計画の変更」の意味は何か。
- →例えば、東日本大震災やヨーロッパの通貨危機の影響で工事需要が下がったという意味。(北陸電力)
- 変圧器については、ガス分析等によって余寿命を判定できるはず。寿命を50年と設定していることに違和感がある。事後のフォローアップとして、設備を取り替えたタイミングが適切だったかという評価は行っていないのか。
- →ご指摘の通り、ガス分析等によって余寿命を決めており、分析結果によって50年より早く取り替えている設備もある。設置から50年以上経過している設備について、後何年維持できるかという判断は困難。(北陸電力)
- →設備を取り替えた後、物理的に分解して設備の状態を確認することによって得られた知見は学会等で発表している。(中国電力)
- 北陸電力について、平成22年度や平成25年度計画と実績のずれがある要因は、経営状況の悪化だと推測していたが、顧客側の事情という理解でよいのか。これまでと同じような収支状況の中で自らの事情で計画を見直していないか。
- →当時、経営状況が悪化していたのは事実だが、厳しい収支の中でも設備投資の修繕はできる限り長期で見て判断して維持する方針。基本的な要因は外的なもの。(北陸電力)
- 北陸電力と中国電力はどちらも設備の劣化状況に応じて設備投資計画を作っていると説明している。しかし、北陸電力の資料3-3のP13を見ると、経年観察を行った上で、劣化状況に応じて更新する設備も見られる。中期的な計画の数字を精査する必要がある。
- スマートメーターを10年かけて100%導入することは努力の結果。ただし、費用対効果のグラフを見ると、長い時間をかけてようやく収支がそろう状況か。
- →費用対効果は資料6-4のP17に記載。青色が導入の効果、コストは下向きの白抜き棒グラフで示している。最初は、少しずつ導入しただけでは検針の手間などが一気になくならない。全家庭に導入されれば大きな効果となり、H48に累積黒字に転換の見込み。(中国電力)
- →同様に、資料7-4のP11に記載。37年度以降7億円の効果を見込んでおり、平成50年度に累積で黒字転換する見込み。(沖縄電力)
- →他社より遅いのではないかとの指摘だが、将来必要となるシステムの構築費も織り込んでいるので、累積黒字転換が遅れている。(北陸電力)
- →北陸電力の累積黒字転換が遅いことは、ただちに託送原価の問題ではないが、精査する。(安念座長)
- スマートメーターは共同調達等を行っているが、変圧器やコンクリート柱などは共同調達できないのか。違うものを各社が使っているのか。
- →コンクリート柱については、重量が相当に重いので輸送費がかなり高くつく。このため、地点ごとや隣接県などから買わざるを得ず、他者との共同調達による軽減効果は少ない。共同調達は、物品によって考えている。(北陸電力)
- 事務局資料4の修繕費のメルクマールについては、「送電・変電・配電設備」で修繕費率を算定することで良いと考える。
- 資料5-1のP23「エスカレの織込」については、前回、南委員から各社そろえるべきという意見があった。全てを除くなら言うことは無い。賃金が上振れしているが、エスカレを織り込むとしても、賃金を除くなら良い。どちらかになるのではないか。
- →資料5-1のP29にあるとおり、公共工事の全国平均よりも労務単価を低く設定してきたが、その結果、平成25年度に約3割が入札不調となった。このため、平成26年度からエスカレを反映させている。エスカレは物価上昇のときは適切に反映して、競争の拡大により価格を下げていくことが重要ではないかと考えている。(北陸電力)
- 資料5-4のP8については、北陸電力に重く捉えてほしい。震災前からコストの低減を行ってきたということを示されているが、電子式計器の単価は極めて高い値段になっている。単価を15%下げたというつもりだと思うが、その後も、更にすごく下げている。これは電気料金の値上げ審査で極めて高いということが白日の下にさらされた結果。自分たちが15%の削減で自己満足していたが、元が高すぎるので、社会の常識からして半額以下が本来の姿ではないか。甘い削減である。メーターについてはよく考えてほしい。中国電力もその傾向がある。沖縄電力は今でも極めて高い。沖縄の特殊性では到底説明しきれない。規模の経済性で説明できる範囲でない。聖域なくコスト削減すべき。
- 資料6-3のP4、中国電力が平成26年度に緊急避難的に修繕費を減少したことについて、大赤字の結果、流通部門にしわ寄せがくることはあってはならないこと。値上げの回避としてやむを得なかったということを正直に言っていただいたことについては事情としては理解。一方で、北陸電力の不自然さを黙認してはいけない。仮に、査定したとすると、26年度ベースでやると28-30年で増加していくのは26年度の付回しでないか、という点をきちんと査定する。
- 沖縄電力の出向者の人件費について、火力部門など、どう考えても発電部門ではないかと受け取れるものが2団体あるので確認が必要。
- 北陸電力の資料5-1のP22が分かりにくい。絶対値で示してほしい。
- 資料5-1のP15について、グループ会社の利益が何故こんなにあがっているのか。
- →親会社との取引で利益を上げているのではないかとの御指摘だが、グループ会社は人件費の抑制や効率化の進展により、競争力が上がっている。(北陸電力)
- 資料6-1のP7について、グループ企業の効率化や経営基盤の強化によって中国電力のコストが下がるのか。非常に良いことなので、プロセスを知りたい。
- →力のある企業とのアライアンスで競争力を高めており、これが資材調達等に影響している。(中国電力)
- 効率化の第三者評価について、具体的なプロセス、位置づけを知りたい。
- →足下では3.8%の効率化という評価をいただいたが、これは、コンサルタントに依頼して常駐してもらい、エビデンスも見てもらいながら、一過性を除いた継続性あるものを積み上げたもの。(中国電力)
- 自己資本の資本構成30%について、今回は省令改正してくれという訳ではないが、問題意識として、30%は経過措置料金ならともかく託送料金にしては高すぎると思う。競争がない事業であることを考えると、資料4のP35の類似公益事業の34%と比較するのはどうかと思うが、次の改定には意識をもって議論をしなければならない。
- 中国電力の資料6-3のP4について、平成19,20年度あたりから右肩あがりで修繕費が上がっている。平成20年度に設備ビジョンを策定し、これに基づいて高経年化対策を行ってこられたものと思う。今後を見ると、若干抑制されており、これはスマートメーターなど後から入ってきたものにより抑制されているものと理解してよいか。
- →ご指摘のとおり。できれば、新たなスマートメーターも吸収できればよかったが、7%の効率化施策で、追加の施策まですべてを吸収できなかったという状況。(中国電力)
- 北陸について、資料5-3のP2で、平成18年度、22年度、24年度については修繕費増加の理由が吹き出しで書かれているが、ベースとして増えてきている理由は何か。
- →原価算定期間は、高経年の設備が増えてきている。31年度以降についてはおおむね平均どおり推移するものと考えている。ベースとしても同様。(北陸電力)
- 資料4のP8のエスカレ適用について、沖縄電力は費用によって、異なる年度の指標を使っているのはなぜか。
- 設備関連のコストは、減価償却費、除却費、修繕費をまとめて考えた方が、全体像が見えてくる。
- 労務単価について、北陸電力、沖縄電力は同じように上昇しているが、中国電力は資料6-1のP24を見ると水準を維持している。これで不都合はなかったのか。
- →全ての調達が成立しているわけでなく、一部不調がある。ただし、大きく影響を及ぼしているわけではない。(中国電力)
- →地域の事情もあるだろうが、不揃いだと気になる。深めなければならない。(安念座長)
- 商工会議所の意見として、コスト削減は必要だが、競争発注について、電力会社の設備工事は公共工事に匹敵する規模であり、地域経済への波及効果が大きい。地元企業を活用する配慮をお願いしたい。特に地元の中小企業をコスト削減でいじめないようにしてほしい。また、競り下げ方式はデフレの温床になると言われているのでやめてほしい。
- 修繕費について、中国電力の資料6-3のP13において、太陽光発電の負担金は除かれているのか。
- →そのとおり。(中国電力)
- 本日の議題ではないが、近接性割引に関して、過去の資料を見て考えているが、やっぱりわからない。各社が地図を作るにあたって共通しているのは、発電量と需要量はどちらが大きいかということと需要密度であるが、それが本当に潮流改善に役立っているのかどうかということが、これだけでは分からない。唯一、北陸電力だけが、地図の中にネットワークの絵を書いて、こういう潮流になっているから、こういうふうに考えるということを示しているが、同じように、色分けされた地図の上に、ネットワークの絵を重ねてもらって、どういう潮流がいまおきていて、だからここが対象になるのかならないのかということを、潮流とあわせて説明していただかないと、適正なのかどうなのかわからない。10社において、資料をご用意いただきたい。
- →確かに、制度の目的というのが、潮流改善に対するリベートであると考えるとすれば、潮流がどういうふうになっているのか少なくともビジュアライズしていただかないと、なかなか腑に落ちない。10社共通的に作ってもらえるものかどうか。(安念座長)
- →御指摘の点については、発注の仕方を考えなければならない。(事務局)
- →今の潮流でいいのか、北の方に大電源を持っていて、今は動いていないけれど、近い将来動かす予定ですというときに、動かした瞬間にまた変えるのかというと、本当にそれでいいのか。大きな潮流の話をしているので、動かすつもりの電源というのをきちんと踏まえた上でやるべきだと思うが、議論が混乱するので、何を求めているのかということを確認した上で、発注したほうがよい。
- →発注の仕方について、各先生にご相談しながら、発注をしましょう。(安念座長)
- 資料5-1のP14、P15について、北陸電力の関係会社取引の効率化資料は良い。関係会社まで目配せしないといけないのに、料金審査で効率化と言われて関係会社をどのように仕切っていくか、非常に見物だったが、この資料は分かりやすい。中国電力と沖縄電力にもこれらに準拠した資料を各社横並びで出してほしい。
- →事務局で3社(残り2社)を取りまとめてもらいたい。(安念座長)
- 事務局資料4のP80、81の修繕費率の考え方について、事務局提案のとおり②「送電・変電・配電設備」で算定するということでよいか。(安念座長)
- →了承。(出席全委員)
以上
関連リンク
お問合せ先
電力・ガス取引監視等委員会事務局 ネットワーク事業監視課
最終更新日:2016年4月1日